儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

「日本のエンジン」に迫る危機

変わった視点でのコラムです。

 

データで見る「東京」

 日本経済の心臓部、東京──。

 2年後、ここに世界の耳目が集まる。2020年7月に開幕する東京五輪・パラリンピックだ。世界最大のスポーツの祭典を目当てに、世界中から延べ1000万人もの人が集まる。

 五輪開催は大きな経済波及効果をもたらす。みずほ総合研究所は、その額を約30兆円と見積もる。東京は日本経済全体にとって大きな影響力を持つ。人口は1372万人(17年)で日本全体の10.8%、GDP(域内総生産)は約95兆円(名目、14年度)と約18%を占める。千葉、埼玉、神奈川の周辺3県を加えた「東京圏」では、3644万人と日本の約3割、GDPは3分の1となる約166兆円にも及ぶ。国内の大企業のうち、半数以上の本社が集積する。

 その東京での五輪は「国際社会で『東京』という都市のプレゼンス(存在感)を高め、日本経済を浮揚させる起爆剤にする、またとないチャンス」(みずほ総合研究所の太田智之経済調査部長)となる。

 1964年に開催された前回の東京五輪でも、それは証明済みだ。

 首都高速道路や新幹線といった日本経済の基盤となる交通インフラの整備が進み、五輪に合わせてテレビ放送のカラー化も本格的に始まった。カラーテレビが自動車、クーラーと並び、その頭文字を取って「3C」と称され、消費を牽引した。64年の実質経済成長率は2桁台に達し、「オリンピック景気」と呼ばれ、その後、日本を世界トップクラスの経済大国へと押し上げた「いざなぎ景気」への助走の役割を果たした。

 もっとも、当時と今とでは日本の環境は大きく異なる。人口増加が成長の大きな原動力になった前回と様変わりし、少子高齢化で既に人口減少社会に突入。課題のデフレ脱却はいまだ果たせていない。

 地方から人やお金を吸収してきた東京も例外ではない。国立社会保障・人口問題研究所の5年ごとの将来推計によると、東京都の人口は、2030年ごろにピークを迎え、ついに減少が始まる。40年には65歳以上の高齢者の比率(高齢化率)が29%に達する。東京都は生産年齢人口が多いため、17年の高齢化率は23.3%で、日本全体の同27.7%と比べて低い。だが、40年には今の全国平均を上回り、人口構成は逆ピラミッド型に近付く。

 これは、世界で激化する都市間競争にも影を落とす。米監査大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が、世界主要30都市の競争力を格付けする「世界の都市力比較」ランキング。16年に実施した調査では、東京は15位と低迷した。1位のロンドン、2位のシンガポールに大きく差をつけられた。

 東京は11年の調査で14位、翌年には10位に上がったが、その次の調査となる前回14年には13位に下落していた。評価がさえない要因の一つが、少子高齢化で生産年齢人口の比率が低いことだ。それは、今後さらに加速していく。

日本再生の最短ルート

 だが嘆いていても始まらない。半世紀ぶりに巡ってきた五輪という一大イベントを、課題の解決にどう結びつけ、東京を再強化するかが問われている。

 「東京という1つの都市に、様々な人材や情報、資金が凝集したことで、多くの企業が新しい事業を創出し、文化が生まれ、日本は高度成長を実現できた。東京を強くすることが、日本を強くするための『最短ルート』なのだ」。PwCアドバイザリー、インフラ・PPP部門の石井亮マネージャーは、こう指摘する。

 30兆円という五輪効果の内訳を見ると、施設整備費や大会運営費など五輪そのものによる「直接効果」は2兆円程度。大半は都市インフラの整備やインバウンド(訪日外国人客)需要の増大といった付随効果が占める。五輪をきっかけに都市の機能をバージョンアップできるかどうかが、五輪後の東京、ひいては日本の将来を決める。

 「課題」あるところには、「商機」も眠る。東京再生にチャンスを見いだす国内外の様々なプレーヤーが、既に動き始めている。東京が、世界中から「ヒト・モノ・カネ・情報」が集まる「吸引力」を強化することができれば、日本経済を新たな成長軌道に乗せられる可能性は十分にある。