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J-REIT買い手不在が鮮明に

配当(分配)金生活に最適かも。

 

分配金は過去最高水準でも……

全銘柄のおよそ4割が分配金引き上げに踏み切るなど、J-REITの業績が一見、好調だ。しかし、東証REIT指数は1700ポイント前後での推移が続き、どうも動きがさえない。REITに組み込む物件は買いにくくなっており、天井感と先行きの危うさばかりがちらつく。

 幅広い投資家から資金を集めて不動産を購入し、その賃料収入や売却益を投資家に分配する日本の不動産投資信託(J-REIT)の業績が好調だ。

 足元でのオフィスや住宅の空室率低下や賃料上昇が背景にある。オフィス仲介の三鬼商事(東京・中央)が毎月発表する東京ビジネス地区のオフィス平均空室率は4月以降、2.6%台で推移し、約10年ぶりの低水準となっている。流れは、札幌や仙台など地方都市にも広がる。東京23区のマンション賃料も緩やかに上昇する。シングル、コンパクト、ファミリーとすべてのタイプのマンションで2~3%程度賃料が上がっている。

 好調な市況はREITが保有する物件の含み益増加につながる。投資家に支払う分配金も増えた。アイビー総研の関大介氏によれば、2017年下半期は全体のおよそ4割に当たる銘柄が、1口当たりの分配金を引き上げた。分配金は過去最高の水準にある。

 4月以降、いちごホテルリート投資法人が東京・浅草にあるホテルを売却。ケネディクス・オフィス投資法人が浜松町のオフィスビルと渋谷の商業施設を売却するなど「益出しの動き」も活発だ。17年、J-REITの物件売却額は過去最高を記録した。

 しかし、こうした上げ潮局面にもかかわらず、東証REIT指数の動きはさえない。今年1月に心理的節目となる1700ポイントを回復したものの、その後は1700をはさんだ鈍い動きが続く。

 東京証券取引所が6月に発表したREITの投資部門別売買状況を見ても、積極的な買い手がいない点が鮮明だ。金額ベースで見ると銀行、そして証券会社以外の機関投資家はほぼ売りが買いを上回った。4月までは目立っていた海外投資家の買いもストップしている。

 野村証券の荒木智浩アナリストは「欧米が利上げ局面に入ったことも関係しているのではないか」と話す。日本の低金利は続いているものの、将来の金利負担増を懸念する動きが出始めているのではないか、という視点だ。

新規物件買えず手詰まり感

 将来への憂いは事欠かない。不動産価格が上がるなか、REITの規模拡大・成長につながる新規物件は買いづらくなっており「天井感」を指摘する声が絶えない。将来の分配金原資にも関わる点だけに、「分配金額の伸びが鈍化することを市場は織り込んでいるのでは」(野村証券の荒木氏)との声もある。

 また、銘柄数が少ないと1物件当たりの収益が全体に与える影響が大きくなる。このため「今年に入って、同じスポンサー下にあるREIT同士で合併する動きが相次いでいる」(前出の関氏)。

 運用は好調でも今後の成長に手詰まり感が漂う。品ぞろえも買い手も、だ。東証REIT指数の動きは、内憂外患の先行きを暗示している。(武田 安恵)