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仮想通貨で強奪被害相次ぐ

つい最近、日本でも事件がありました。

 

手口が巧妙化、海外では誘拐も

年明け早々に、仮想通貨取引所でハッキングによる不正出金被害が発生。価格の高騰とともに犯罪者の手法が巧妙化、過激化している。利用者保護の視点に立った、業界全体での取り組みが求められている。

 「知らないうちに仮想通貨が出金されている」

 1月7日の朝、個人投資家A氏は仮想通貨取引所「Zaif」から、ビットコインが出金されたとのメールが届いているのに気が付いた。だが、出金時刻は未明でA氏は就寝しており身に覚えがない。慌ててスマートフォンでZaifの口座を確認したところ、資産総額がほぼゼロになっていた。A氏はビットコインのほか数種類の仮想通貨を保有しており、総額は円換算で100万円以上。その全てがビットコインに換金されて根こそぎ不正出金されていたという。

 IT(情報技術)エンジニアでもあるA氏は、取引に使用するパソコンとスマートフォンのセキュリティー対策には万全を期していたつもりだった。ログインや送金をする際に、専用アプリで都度生成されるパスワードが必要になる2段階認証という高度なセキュリティーも設定していた。

犯罪者にとって垂涎の的

 不正出金の原因は1月7日夕方、Zaifを運営するテックビューロ(大阪市)の発表で明らかになった。プログラムを使った自動トレードで取引所とのシステム連携に使う「APIキー」というデジタル情報が漏洩していたのだ。テックビューロによれば、1月6日夕方から同7日未明にかけて10人のアカウントで37件の不正出金が実行されており、A氏もこの被害者の一人だった。

 テックビューロはAPIキーの漏洩経路を調査しているが、「特定に至っていない」としている。A氏は「システム環境を改めて全面的に見直したが、自分がAPIキーを流出させた可能性はないと考えている。もしもテックビューロ側が漏洩させていたとなれば、当然被害の回復を求めることになる」と言う。

 これまでにも国内大手仮想通貨取引所で不正出金の被害は報告されていたが、各取引所が推奨する2段階認証を設定していないなど利用者側の対策が万全でないケースが多かったとされる。だが、今回は2段階認証でも不正出金を防止できず、アクセスも海外のサーバー経由という巧妙な手口だった。

 昨年1年間で価格が大幅に上昇したビットコインをはじめとする仮想通貨。不正入手に成功した際に足がつきにくいという匿名性の高さと相まって犯罪者にとって垂涎の的となっており、ハッキングの手口も高度化している。

 こうした状況下においては、日本の仮想通貨取引所は国際的に見るとハッキングによる被害は少ないといえる。かつてビットコインが消失したマウントゴックス事件が起きたこともあり、日本では金融庁が取引所のセキュリティーを厳しく検査しているほか、顧客資産を取引所経営と切り離す分別管理なども課しているからだ。

「自己責任」に限界も

 海外では多額の被害報告が相次いでいる。昨年12月19日、韓国の取引所「ユービット」は「ハッキングで総資産の17%を失った」として、破産申請すると発表した。同取引所は4月にも約4000ビットコイン(当時のレートで約5億5000万円)を失っていた。ITセキュリティー企業の米セキュアワークスは、「北朝鮮のサイバー犯罪グループがビットコインを不正入手しようと、ウイルスを潜ませた偽メールを発信している」と報告している。仮想通貨取引を肩代わりする「採掘サービス」を手掛けるナイスハッシュ(スロベニア)からは昨年12月、4700ビットコイン(当時のレートで約67億円)に上るビットコインが盗まれた。

 当然のことながら犯罪者の攻撃手法は、サイバー空間だけに閉じられているわけではない。昨年末にはウクライナの仮想通貨取引所のCEO(最高経営責任者)が、会社を出たところで誘拐され身代金を要求される事件も発生した。

 犯行手口が巧妙化、過激化する中で、利用者はどのような自衛手段を取るべきなのか。

 2段階認証をかけるのは当然だが、そもそも取引所に預ける資産を分散しておくべきだろう。セキュリティーを万全にして仮想通貨を手元の端末に移して保管したり、紙に2次元コードで印刷して保管したりする方法もある。被害を補塡するとうたう事業者もあるが、円出金に限るなど一定の条件を課しており頼り切るには不安が残る。

 FX(外国為替証拠金取引)では証拠金を信託銀行などに預けて保全することが義務付けられている。現時点の仮想通貨取引は、あくまで自己責任だが、業界の健全な発展のためには利用者保護のさらなる進化が課題となる。広岡 延隆、浅松 和海

 「仮想通貨取引所を通じた取引を禁止する法案を準備中で、取引所の閉鎖を目的にしている」

 韓国の朴相基法相が1月11日にこう発言したことで、それまで1ビットコインあたり1万5000ドル(約165万円)近辺で推移していた市場価格は一気に下落して1万3000ドル(約143万円)を割り込んだ。韓国当局が同じタイミングで複数の大手取引所を脱税の疑いで捜索したこともあり、いよいよ規制に本腰を入れたと受け止められたのだ。

 ただし、朴法相の発言に対して韓国内での反発が相次いだこともあり、大統領府が「最終決定したものではない」と火消しを図ることになった。それでも、市場には規制がいずれ現実化するのではとの不安がくすぶったままで、相場の重荷となっている。

 中国でも改めて規制強化の動きが出始めた。中国では昨年10月に全ての仮想通貨取引所が閉鎖されたが、仮想通貨の流通を支えることで収益を得る「マイニング(採掘)」には規制が及んでいなかった。

 ところが1月10日、あるマイニング大手事業者が同社サイト内に開設していた採掘権を売買する市場を閉鎖した。中国当局の意向を受けたものと見なされている。現時点ではマイニングそのものが禁止されているわけではないものの、中国マイニング事業者の間では国外に事業拠点を移す動きが活発化しているという。

 日本では麻生太郎財務・金融相が仮想通貨に関して「何でもかんでも規制すればいいとは思わない」と述べた。

 仮想通貨市場の時価総額は100兆円近くに達したとの試算もあり、今や17世紀に起きた「チューリップバブル」を超える史上最高のバブルともささやかれる。そのため、多くの国の金融当局が、過熱感のある市場で投資家が損失を被ることに対する警戒感を強めている。

 中長期的な仮想通貨市場の展望については、専門家の間でも意見はまだ定まっていない。それだけに、投資家はリスクについて十分に理解する必要がある。