儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

コスト増と緩まぬ財布で板挟み

良く調査してあります。

人件費や原材料費が上昇する中、小売りやメーカーが難しい対応を迫られている。景気は回復基調だが消費者の財布のひもは固いままで、値上げすれば客が離れるリスクがあるからだ。景気や生活の先行きに対する懸念は根強く、あえて値下げする企業もある。体力勝負の様相が強まりそうだ。

 ファミリーレストラン「ガスト」などを展開する外食大手すかいらーくは10月から、値上げに踏み切る。サラダなどのサイドメニューを中心に価格を引き上げ、平均客単価で15円程度の上昇を見込む。「長崎ちゃんぽん」を展開するリンガーハットも8月10日から、西日本地域の店舗で、ほぼ全ての商品の価格を平均4%程度値上げした。

 両社の値上げが示唆するのは、人件費や物流費などのコスト上昇に企業が耐え切れなくなってきたことだ。すかいらーくの谷真社長は、「サイドメニューを中心に値上げをするのは客足に影響が少ないから」と、慎重に判断したことを強調する。リンガーハットは昨年8月、既に東日本の店舗で約半分の商品で4%程度の値上げを実施済み。西日本は比較的人件費が安いため、これまで値上げを踏みとどまっていたが、コストを吸収しきれなくなった。

価格据え置きで集客する小売り

 食品や日用品のメーカーでも、はごろもフーズが9月からツナ缶5品目を6~7%値上げするなど、価格転嫁の動きが広がる。だがメーカー品を横並びで販売する小売業は簡単には値上げを受け入れられない。独自のメニューで集客する外食とは違い、値上げすると顧客を競合に奪われやすいからだ。むしろ生活コストの上昇を嫌う消費者を、安値で呼び込もうとする企業も目立つ。

 西友は「プライスロック」と銘打って、6カ月間以上値上げしないと約束するキャンペーンを実施している。対象商品は過去最高の1800品目超まで増えた。今年5月、乳製品やパン・麺類など214品目を追加し、新たに対象とした商品は前年比で約20%売り上げが伸びたという。

 これまで「便利さ」をウリに値段が高くても消費者に受け入れられていたコンビニエンスストアも例外ではない。セブン-イレブン・ジャパンは4月、使用頻度の高い洗剤などの日用品61商品を平均5%値下げした。ローソンやファミリーマートも5月に追随。あるセブンイレブン幹部は、「ドラッグストアやスーパーの価格訴求に対し、『コンビニの日用品は高い』という印象を払拭したかった」と背景を説明する。

 ただ、こうした低価格戦略を今後も続けられるかは不透明だ。ローソンの竹増貞信社長は「ITを活用した効率化などで上昇するコストを吸収したいが、いつかは限界が来るだろう」と話す。採算改善のために、値上げを余儀なくされる小売りが出てくる可能性もある。

財布のひもはもっと固くなる

 値上げが広がるかどうかのカギを握るのが、消費意欲の動向だ。日経ビジネスは8月上旬、消費者アンケートを実施した。最近の消費意欲について聞いたところ、16年7月調査と比べて「高まった」「どちらかといえば高まった」と回答した人の割合は12.7ポイント上昇し25.9%となった。高まった分野としては旅行や外食などを挙げた回答者が多い。「下がった」「どちらかといえば下がった」と回答した人が30.5%いるものの、最近は一部の消費者で財布のひもは緩み始めていたようだ。

 実際、4~6月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で4.0%増と高い伸びとなった。統計上は消費も堅調のように見え、景気回復が9月まで続けばその期間は「いざなぎ景気」を超える。

 だが、アンケートで景気見通しについて尋ねると、「少し悪化していく」「かなり悪化していく」と答えた人が39.7%で、「かなり改善していく」「少し改善していく」の20.6%を大きく上回った。景気回復の実感は限定的で、今後、財布のひもはむしろ固くなりそうだ。

 回答者からは、「株価は上がったが景気が良くなったという実感はない」(大阪府の50代男性)、「企業は強気で値上げするが、家計は収入が追い付かず節約するしかない」(千葉県の50代女性)という声が少なくない。「値上げに質が伴っていない」(東京都の40代女性)との不満もある。コスト増と節約志向の板挟みの中で、企業は収益性改善の知恵も問われている。

年金支給日に販売伸びる

 経営者として感じる景気と、店頭に立って感じる景気にギャップがある。

 マクロ的にはバブル以来の人手不足で、加盟店も従業員集めに苦労している。地価の高騰も指摘されるなど、経営者の視点からは好景気のように見える。一方、店頭ではそこまで景気が好転した印象はない。消費者の財布のひもは固く、しかも安さ以外に何らかの魅力がないと買ってくれない。

 背景には高齢化がある。ディスカウントチェーンの「ローソンストア100」では給料日がある月末ではなく、年金と生活保護費の支給日に売り上げが伸びる。地方のローソンでも同様の傾向がある。社会保障制度に不安がある中で平均寿命は延びており、おいそれとお金を使えないのだろう。(談)

深夜、昼時の客足が減少

 深夜の客が激減している。深夜営業をやめた店舗もあるが、営業を続けている店でも減っている。夜遅くまで働いて食事に行く人や、あるいは夜遅くまで出歩く人が減っているのだろう。若者のライフスタイルが様変わりしている。

 また、ランチタイムで30~40代の女性客が減り、(和食店の)「藍屋」や「夢庵」を除く業態でディナータイムの客数が増えている。分析をしたわけではないが、こうした売り上げの変化は、女性の就労機会が多くなって、共働き家庭が増えていることを反映しているのではないか。

 夫の給料がどんどん増える状況ではない。妻が働きに出ることで一家の収入を増やそうとする傾向が表れているようだ。(談)

コスト増も価格転嫁難しく

 物流費や人件費の上昇圧力が強い。ヤマト運輸の運賃値上げ以降、我々のような卸が委託している物流会社にも値上げが広がっている。一方、食品については全体として悪くはない。メーカーや小売りが健康志向などに対応した魅力のある商品や売り場作りで需要を喚起している。

 ただし日々使う基礎的な食品や日用品は、消費者の価格志向が特に強い。ドラッグストアやスーパー、コンビニエンスストアの業態間競争もあり、コストが上昇していてもすぐに価格に転嫁することは難しい。

 小売りもメーカーも多くは企業努力によって、何とかコストを吸収しようとしている。直近の決算で、増収減益基調の会社が目立ったのはそのためだろう。(談)