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「したたか中国」と「声高トランプ」共存の危険

反保護主義が空しく響くG20

細川昌彦氏のコラムです。

 

北朝鮮とトランプ、案外、似ています。今後の日本の対応は非常に難しいと私は思います。

 

したたかな中国は「埋没」を決め込む

 今回のG20において中国は存在感を出せず、「埋没感」というのが日本の新聞の評価だ。果たしてそうだろうか。

 むしろ中国一流のしたたかな計算から敢えて「埋没」したのではないか。

 中国は本来、公正な貿易を阻害する国有企業に対する補助金や恣意的な輸入制限措置、高関税など保護主義のデパートだ。ところが米国のトランプ大統領が声高に保護主義的な発言を繰り返す事態に直面して、各国の批判の矛先は米国に向かわざるを得ない。その陰に隠れて中国は問題にされずにいる。

 その典型例が鉄鋼問題だ。

 問題の根源は中国による過剰生産だ。余剰の鉄鋼を大量に安値輸出している問題を是正しなければならないのは中国だ。今回のG20首脳宣言でも早急な具体的な解決策の策定を要求されて、中国に対しては強い圧力がかかっている。

 ところがこれに対してトランプ政権がちらつかせているのが通商拡大法232条による輸入制限の発動だ。自国の安全保障上の理由に基づくだけに発動は中国だけを対象とせず、日欧も巻き添えを食らう恐れがある。EUはこれに反発して、発動されれば即座に対抗措置を講ずるとしている。そうすると世界貿易は報復合戦の嵐だ。

 本来、日米欧が結束して中国への圧力を強化すべき問題なのに、米国の鉄鋼輸入に対する保護主義的な手段に批判が集まり、日米欧の足並みが乱れている。中国にとってこれほどありがたい事態はない。

 米国トランプ政権にもう少し中国のようなしたたかさがあれば、G20における1対19の構図での「1」の座は、米国から中国に入れ替わっていただろう。

声高なトランプは着々と”成果“も

 ただし、その米国も孤立しながらも、トランプ大統領が声高に主張し続けることによって着実に“成果”を出している面もある。

 5月のG7サミットでは、「保護主義に対抗する」との文言と引き換えに、「互恵的な貿易」との危険な言葉を盛り込ませることに成功したことは、以前指摘したところだ。今後、この言葉を盾に対米貿易黒字の相手国に対して、「不公正」だと主張することが可能になるとの思惑だ。

 今回のG20では、さらに一歩進んで、「保護主義と闘う」と宣言文に明記するのと引き換えに、不公正な貿易相手国に対して関税引き上げといった「正当な対抗措置」を取ることを認めさせた。

 この結果、互恵的かどうかで公正さを判断して、相手国に対して保護主義的な対抗措置を取ることを正当化する道を開くことになる。

 こうして着実に保護主義へのお墨付きを“前進”させているのだ。

 だだっ子のように声高に主張し続けるトランプ大統領。会議全体の結束・協調のために仕方なしに主張を受け入れる各国首脳。この構図はG7もG20も変わらない。

 こうした文言の積み重ねが米国の現実の行動につながるだろう。それは世界に保護主義の連鎖という悪夢の結果をもたらすことになるのではないか。そこに危機感を持つべきだろう。