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仮想空間」に逃げ込む富裕層

菅原透氏の記事です。

面白い内容です。

 

仮想通貨で資産を運用する富裕層が出てきている。円やドルといった通貨に比べて、為替の変動リスクを抑えられるとの期待が背景にある。これも不確実な時代を生き抜く一つの処世術か。

 未公開企業への出資などを通じて富を築いてきた都内のある投資家は最近、資産の一部を仮想通貨「ビットコイン」で運用し始めた。

 取引規模が限られ、価格が乱高下しやすいビットコイン。5月には伝統的な「無国籍通貨」である金の史上最高値を上回り、投機対象としてその存在感は増す一方だ。くだんの投資家もリターンを狙ってビットコインに目を付けたのかと思いきや、必ずしもそうではなかった。狙いをこう明かす。「ドルや円と違って為替リスクがないからね」

 仮想通貨はネット上でつながった無数の個人が取引情報を検証し、お墨付きを与えることで「通貨」としての価値を生む。中央銀行の管理の手が及ばない通貨という意味では、各国の金融政策や政治情勢の変化に伴う為替変動とは確かに無縁といえる。

 今は荒い値動きをしているが、取引量が増え、市場が拡大すれば、いずれ、価格も落ち着いてくるはず。ならば、実際の通貨に比べて安定度の高い資産運用先になるのではないか。

 こう考える富裕層はこれから増えるかもしれない。何せ世の中は波乱含み。英国の欧州連合(EU)離脱交渉はメイ首相の求心力低下で先行きが一段と不透明になり、トランプ米大統領はロシアとの不透明な関わりに疑いの目を向けられる。5年に1度の共産党の重要会議が秋に控える中国では水面下で権力闘争が熱を帯び、核開発を急ぐ北朝鮮の挑発はやまない。日本も安倍晋三政権の強引な政権運営に批判が出ている。

失われる成長のけん引役

 スイスに本拠を置く国際金融グループ、UBSはそんな現代を「最も不確実な時代」と表現する。日本を含む世界7カ国・地域の100万ドル(約1億1000万円)以上の預貯金や運用資産を持つ富裕層を対象に今年1?2月に実施した調査によれば、どの国・地域においてもざっと8割が「現代が最も不確実な時代」と答えた。

 不確実性の背景は各国・地域で様々だが、根底には「経済成長の構造変化がある」と日本側で調査を担当したUBSウェルス・マネジメントの青木大樹氏は指摘する。

 同氏が根拠とするのは2つの統計だ。一つは生産年齢人口(15?64歳)が日本だけでなく、米国や中国、欧州など多くの国でピークを迎えていること。経済社会の担い手である働き手が減る、あるいは全人口に占める比率が低下するという「人口オーナス期」に主要国は既に入っている。世界経済の成長力は生産性を上げない限り、確実に落ちていく。

 もう一つは世界の貿易総量だ。戦後、自由貿易体制を確立することで、世界経済をけん引してきた貿易量がさっぱり伸びなくなった。市場の近いところで商品を作る「地産地消」が進んだ結果ともいえるが、主要国が人口オーナス期に入る中では今後の貿易量の伸びも見込みにくい。

 経済成長のけん引役が失われつつある中、各国の経済政策も揺れている。世界の主要紙が政策の不確実性を報じた記事数を基に算出する「経済政策不確実性指数(EPU指数)」というものがある。今年1月、トランプ大統領就任時に300の大台を超えたEPU指数(世界)は足元でも200前後と2008年のリーマンショック並みの高水準を保っている。

 不安定で先が見えないから、富裕層は現実社会に見切りをつけ、資産の一部を仮想通貨に託そうとしているのではないか。

 もっとも、企業経営にはそんな「逃げ場」はない。厳しい市場競争の中でいかに勝ち抜くか。新しい市場をどう作り上げるか。世界経済の成長軸は確かに見えにくくなったが、自社の成長モデルまで見失うことはできない。

 30年ぶりに連勝記録を塗り替えた中学生棋士、藤井聡太四段の強さの源泉は幼いころから詰め将棋で磨いてきた「大局観」だという。盤上でも、ビジネスでも、いつの時代も問われるのは先を読む力ということだろう。