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老後が不安なら“老後”を無くせばいい

いかに自分の未来に正対し、対策を取るか:大江英樹

 

 老後は誰にとっても不安です。健康、お金、孤独などなど、不安の要素はたくさんあります。なぜ老後が不安なのかという最大の理由、それは誰もが老後を経験したことがないからです。「私はかつて75歳だったことがある」などという人はひとりもいません。「自分の老後」は全ての人にとって、これから訪れる未知のことなのです。経験したことがなければ何が起こるかわかりません。せいぜい自分の親や先輩の姿を見て推測するしかないわけです。

 実際、齢をとると、次々と嫌なことが襲ってきます。
 健康面で考えると、私は50歳になった時に明らかに体力の衰えを感じました。40代までは多少衰えたとは言え、徹夜も平気でしたし、睡眠時間3時間ぐらいの日が続いても土日に寝だめすれば回復していました。20代、30代の頃と比べてさほど違いはなかったのです。

 ところが50歳になったとたんに、急激な体力の衰えを感じました。更に60歳になると具体的に体の悪い箇所が出てきたのです。健康状態は人それぞれですから誰もが同じではないですが、加齢による身体能力の低下は避けようがないと言ってもいいでしょう。

 お金についても多くの人は将来のお金の「入」と「出」、すなわちキャッシュフローをあまり理解していません。面白いことに「老後は不安」であるにも関わらず、「関心がない」のです。おそらくは心のどこかに「何とかなる」という気持ちを持っているのかもしれません。確かに何とかならないわけではありません。

 一番大きいのは、公的年金の存在です。リタイアしてから死ぬまでずっと支給される公的年金は、たとえるなら国から支給されるお弁当のようなものです。但し、一日一食しか支給されません。サラリーマンや公務員と違って基礎年金のみの自営業・フリーの場合は、おかずなし・白飯のみの一日一食といっていいかもしれません。

 したがって公的年金だけでは、飢え死にすることはないものの十分満足のいく生活をおくるのは難しいのです。そのうえ、その公的年金の額すら自分で把握していない人も多いのですから、これは不安になるのは当然だと思います。

 では、老後不安を解消するにはどうすればいいのか?勉強して知識を得る、現役時代からお金を一生懸命貯める、コツコツと投資を続けて資産形成を図る、日々食事に気を付けて運動を欠かさないようにするなど、老後対策と言われているものを数え上げるとキリがありません。しかしながらどれよりももっと簡単に老後不安を無くす方法があります。

 それは“老後をなくすこと”です。

 唐突にそんなことを言われてもきっと戸惑うことでしょう。「老後をなくす」って一体どういう意味なんだ、と思われる方も多いと思います。私が自分なりに定義している「老後」は単純な年齢ではありません。働くことを止めた時から老後が始まると考えているのです。つまり「老後をなくす」というのはできる限り働き続けるということです。

 

 実際、働き続けることで俗に言う「老後の三大不安」はかなりの部分で解消されます。まずお金ですが、働き続ければいくばくかのお金は入ってきます。年金だけで生活するよりは豊かな暮らしができるでしょう。健康面を考えても何もせずにじっと家に閉じこもっているよりは、外に出て活動しているほうがはるかに健康にも良いし、体調管理もしやすくなります。孤独ということを考えると、働くことによって程度の差こそあれ人と接する機会は多くなりますし、社会と関わり続けるわけですから、そうそう孤独に陥ることもありません。このように、働くことで老後の問題の多くが解決されるのです。

 ところが“働き続ける”とか“生涯現役で頑張る”というと、「何で60歳を過ぎてまで働かなきゃいけないんだ。いい加減早く引退したいよ」と言う人は多いでしょう。なかには頑張って働いて投資で資産を作り、アーリーリタイアメントを目指しているという人もいます。人それぞれですからどういうやり方が一番良いということは言えませんが、「齢をとって働くのはまっぴらごめん」という方は、どうもサラリーマンの時の働き方をイメージされているのではないかと思うのです。私も定年までずっとサラリーマンをやってきましたから、あんな仕事をこれからもずっとやらなきゃいけないかと思うとうんざりします。

 サラリーマンというのは自分がやりたいことが自由にできるわけではありません。時に自分の意にそぐわないこともやらざるを得ません。でもそれは当たり前の話です。組織に所属して働くわけですから、組織の意思が優先されるのは当然で、各自が自分のやりたいことをバラバラにやっていたのでは組織は機能しません。自分の意思を殺して組織の方針通りに動かなければならないというのは時に大きなストレスを感じるものです。結果として働くこと=苦役と感じるのはごく普通のことです。

 会社を定年で辞めた後は、そういう働き方を見直し、自分の好きなことを仕事にすれば良いのです。若い頃と違い、いくばくかの蓄えもあるでしょうし、公的年金も65歳からは出ます。おまけに退職金もあるとすれば、たちまち生活できなくなるということはありません。

 前のコラムにも書きましたが月に3万円とか5万円程度のお小遣い稼ぎという程度の収入でも十分なのです。サラリーマン時代のようなストレスにまみれた仕事とは離れ、自分がやりたいこと、やりたかったことを妥協せずにやれば良いと思います。私も60歳で会社を辞めた後、自分のやりたい仕事にこだわったので最初の1年ぐらいは何も仕事がありませんでしたが、それほど深刻には考えませんでした。今は有償無償を問わず、様々な仕事やイベントがあるため、全く仕事をしない休みの日は年間3~4日ぐらいしかありませんが、サラリーマン時代とは違って全く苦になりません。

 だからと言って全く無理はしていません。睡眠時間だって一日8時間はたっぷりとっています。何よりもサラリーマン時代との最大の違いは全ての仕事の時間を自分のために使えるということです。会議もなければ上司への説明も不要、部下の指導や評価といった“ねばならない”仕事がない、これが会社を辞めた後、マイペースで働くということの大きなメリットだろうと思います。

 漫画「サザエさん」に出てくるサザエさんのお父さんである磯野波平さんは一体何歳かご存知ですか?実は54歳なのです。「サザエさん」が全国紙で連載が始まった昭和26年当時、定年は55歳でした。さらにその頃の男子の平均寿命は約60歳です。つまりあの波平さんは定年1年前のサラリーマンであり、そして定年を迎えてから5年で平均寿命に到達するというシチュエーションにいる人なわけです。

 ただし、その頃はまだ戦後間もない頃なので、平均寿命には戦争で若くして亡くなった人の影響もあったでしょう。実際には恐らく55歳時点での平均余命は、10年ぐらいはあったと思います。それでも65歳です。つまり仕事をやめてから10年ぐらいしか余生がなかったということになります。別な言い方をすれば「波平さんの老後」は10年間だったわけです。

 ところが現在、男子の平均寿命は80.8歳です。(厚生労働省:平成27年簡易生命表より)60歳でリタイアすると老後の期間は約20年、実際には60歳時点での平均余命は23.55年ありますから83~84歳ぐらいで生きるとして老後期間は24年近くになるのです。これでは老後が長すぎて不安になるのは当たり前と言えるでしょう。
波平さんの時代の働き方を現代に置き換えて考えてみましょう。働くのをやめてから亡くなるまでの人生を10年程度とすると、80~84歳まで生きる現代人は70~74歳まで働いても別に不思議ではありません。

 ちなみに波平さんの年齢と同い年の54歳と言えば、歌手の藤井フミヤさんや俳優の風間トオルさんになります。どう見ても彼らには“波平感”はありません。要するに現代の54歳とはかくも若々しい存在なのです。では70歳の人たちは? 俳優の岸部一徳さんや高田純次さん、井上順さん等はみんな70歳です。彼らをお年寄りとか高齢者と言うのは違和感があります。彼らには老後はないのです。

 誰にでもわかりやすくイメージするためにたまたま、芸能人の名前を出しましたが、私の知人で70代でも現役で働いている人や経営をしている人たちはいずれも一様にとても若々しく見えます。彼らは元気だから働いているのではなく、働いているから元気なのです。要は、いつまでも働き続けることで「老後」は短くなるということです。そのために、楽しく働けるようにするための準備を50代から始めることがとても大切と言えるのではないでしょうか。