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中小型株に2つの関門―権利落ち・IPOに不安

 10日の東京株式市場で日経ジャスダック平均株価は21日続伸した。市場エネルギーがいまひとつ盛り上がりに欠けるなか、値動きの軽い中小型株は資金の受け皿になっている。強気派は勢いを増すばかりだが、年度末に向けて2つの関門が控えている。
 「3月末にかけては不安要素がある」。著名個人投資家のかぶ1000さん(ハンドルネーム)は、騰勢を強める中小型株を横目に慎重姿勢を隠さない。弱気になったわけではないとしつつも、調整に備えて2銘柄を売却。運用資産に占める現金の比率を昨年末の10%から16%に高めた。
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 漠然とした不安の背景にあるのが、2月期決算銘柄の値動きだ。高配当利回り銘柄として知られる、ありがとうサービスが代表例。2月23日の権利付き最終売買日を過ぎると地合いが一転し、直近まで1割強下落した。配当利回りが4%を超えるマックハウスもさえない。配当や優待狙いの買いは株高の原動力になるが、もろ刃の剣でもある。3月期決算銘柄も権利落ちを迎えると同様の状況になりかねないというわけだ。
 例年も配当や優待狙いの買いはこの時期に盛り上がるが、SBI証券の藤本誠之氏は「今年は 特に目立つ」と指摘する。野村インベスター・リレーションズによると、2016年8月末時点で優待を導入する企業は過去最多の1331社。導入比率も初めて3分の1を超えた。新たに導入・拡充した銘柄は人気が高く、2月に新設した城南進学研究社は昨年末から7割超上昇。人気を映し出した。
 ただ、過度な人気はゆがみを生む。株価下落リスクを避けて権利を得るため、手慣れた個人が現物株買いと信用売りを組み合わせる例は多い。流動性が低い中小型株を借りれば、コストは急騰。昨年12月には湖池屋の1000円相当の優待を得るために3万2000円のコストが理論上発生する珍事が起きた。
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 もう一つの関門は、3月末にかけて相次ぐ新規株式公開(IPO)だ。IPO投資を長年手掛ける西和仁さん(同)は「活況ぶりに水を差しそう」と懸念する。スシローグローバルホールディングスなど大型上場で、3月の資金吸収額は合計で約1800億円と前年の4倍超になる見込みだ。
 IPOで得た株が上昇して懐が温まった個人は、似たような中小型株へ買いを入れる傾向がある。過去1年間に上場した企業の値動きを示す「QUICK IPOイ ンデックス」は10年1カ月ぶりの高水準まで上昇。値上がりで得た資金を他の銘柄に回す好循環が中小型株高を支えてきたが、IPOがつまずくと需給の歯車は逆回転しかねない。
 中小型株は2つの関門を突破できるのか。正念場を迎えている。(菊地毅)