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儲ける&儲かる!株式投資

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ベア投信の山、株高阻む―外債苦戦の地銀、苦肉の買い

 株価指数とは逆の値動きをする投資信託「ベア(弱気)型投信」の残高が急増している。外債運用で損失を抱えた地方銀行などが主に購入しているとされ、株価の上値を抑える一因となっている。背景に何があるのか。
 「中小金融機関の決算対策売りがまだ続いているようだ」。東海東京証券エグゼキューショングループの太井正人グループリーダーはこう話していた。8日の東証1部の売買代金は2兆円をわずかに上回った程度。小口の売りを吸収できないほど、相場の地合いは悪い。
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 金融機関の売りは、外債の損失を穴埋めするためだ。地銀や信用組合など地域金融機関は貸し出しの収益が伸び悩み、米国債や日本株投信など有価証券運用を拡大した。
 仮に日経平均株価連動の投信を期初に購入していれば「簿価」は1万6000円台で、現在の株価水準でも含み益は十分にある。一方、米大統領選以降の米金利急騰で米国債の含み損を抱えていた。
 「2016年度は日本株に救われた」。関東地方の地銀の運用担当者は真顔で話す。だが17年度は欧州国政選挙など不透明要素がなお多く、株価急落シナリオもありうる。株の含み益を守りつつ、来年度 に「活用」するすべはないか。そこで相場下落で値上がりする「ベア型投信」に国内勢が殺到した。
 代表商品である「日経平均インバース・インデックス連動型上場投信」の発行済み口数は昨年12月下旬から急激に伸び、最近は過去最高水準にある。野村証券の塩田誠ETFビジネス推進室長は「国内金融機関が積極的に活用している」と明かす。私募のベア投信を購入するケースも多い。ベア型投信の運用会社は裏側で先物を売っているので、残高急増は株価を抑える要因となったとみられる。
 ベア型投信で含み益を守る仕組みはこうだ。利益を確定したい株価水準でベア型投信を購入する。相場が下落し、日本株投信の含み益が減少しても、ベア型投信で含み益が生じ、含み益の総額は変わらない。この持ち高を維持したまま期をまたげば、含み益を持ち越せる。含み益をあたかも確定したような効果があるので「利益にふたをする」と呼ばれる。
 地銀などが築いた「ベア投信の山」は4月に一気に崩れるとみられている。同じことが15年度の期初にも起きた。日本株投信とベア投信を同時に解約し、含み益を実現益に変えるからだ。別の地銀運用担当者は「収益目標のメドが 立てば、期初から余裕を持って運用ができる」と話す。
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 国内金融機関の利益確定売りは3月中旬までで一巡するとみられる。市場関係者の間では「需給の改善で株価が上昇しやすくなる」との期待が根強い。
 それでも地銀の運用者の表情はさえない。米金利上昇観測で米国債の積み増しは難しく、日本株の割安感も乏しい。群馬銀行の荒木登推進役は「17年度は今年度以上に厳しい運用環境」とみる。ベア型投信の山は苦悩の深さを映している。(宮本岳則)