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儲ける&儲かる!株式投資

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日本株、「金庫株」ズシリ――高値圏での売り出し懸念

スクランブル

 6日の東京株式市場で日経平均株価は小幅に続落した。市場では朝方の北朝鮮のミサイル発射が懸念された。もう一つ、投資家心理を冷やしたのが前週末に自己株式を売り出すと発表した三井住友フィナンシャルグループ株の下落。日本企業が消却せずに積み上げた「金庫株」が、ずしりと日本株にのしかかっている。
 「自社株買いを期待していたのに、売り出しなんて」。国内運用会社のファンドマネジャーは怒りを隠さない。傘下の三井住友銀行が保有する自己株式を売り出すと発表したのを受け、三井住友FG株はこの日、一時3%安まで売られた。市場に出回る株式の希薄化が嫌気されたためだ。
 2月下旬にはタカラトミーや大垣共立銀行も自己株式の売り出しを発表し、株価が急落した。野村証券の西山賢吾シニアストラテジストは「株価が高値圏で推移する今は、企業が金庫株を売り出す可能性が高まる」と指摘する。自社株買いは市場で好感されることが多いが、増えた金庫株が売り出しリスクを意識させる皮肉な事態になっている。
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 ゴールドマン・サックス証券の集計によると、東証1部上場銘柄の金庫株総額(時価ベース)は2016年9月時点 で14・2兆円と過去最高に達した。カプコンやキヤノンなど218社(11%)は自社が筆頭株主だ。こうした銘柄は今年に入り上値が重い。
 BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンの王子田賢史・日本株式運用部長は「金庫株の保有が多い企業に対しては必ず使い道を聞く。成長につながらないとみれば投資を見送ることもある」と話す。
 自社株買いによる株主還元は消却により「完結」する。日東紡は昨年9月時点で自社が筆頭株主だったが、11月にそのほとんどを消却。株価は6日終値までに5割近く上昇した。しかし多くの企業が金庫株を消却せずにいる。
 金庫株の保有を続ける企業の多くが「機動的な資本政策の遂行」を理由に掲げる。例えば株価が安いときに買った自社株をM&A(合併・買収)に使えば資金の有効活用といえる。ただ「米国と違い、M&Aなどで活用されるケースは少ない」(ゴールドマン・サックス証券の鈴木広美ストラテジスト)のが実情だ。
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 足元で目立つのはM&Aなど成長に向けた使い方ではなく、安く買った自社株を高く売る、資金調達としての使い方だ。例えばタカラトミーは14年12月の自社株買 いでは940万株を61億円で取得した。今回の自社株売り出しは株価が上昇しため、そのときの6割にあたる575万株で62億円を調達できる。
 もちろんM&Aに使うにしても失敗する可能性がある。「高いリターンにつながる保証ができないなら消却すべきだ」(米コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツの野本大輔シニア・ポートフォリオ・マネジャー)といえる。日本企業は株主還元のために自社株買いを増やした。だがそれだけで評価される段階は終わった。「金庫株」を消却して身軽になることが、日本株一段高の条件となる。(野村優子)