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「決算対策売り」ご用心―期末接近、上値抑える

 3日の東京株式市場で、ある銘柄が個人投資家の期待を裏切った。前日に3月期末の配当を引き上げると発表した長谷工コーポレーションだ。フタを開ければ長谷工株は一時6%安と反落し、期待は空振り。市場では、この時期の国内市場に特有の「決算対策売り」が影響したとの見方がもっぱらだ。トランプ米大統領の発言など海外の材料ばかりに気を取られがちだが、需給が当面の上値を抑える可能性も浮上してきた。
 「増配なのになぜこんなに売られるんだ」。大阪市に住む60代のベテラン投資家は3日、長谷工株の値動きに慌てた。前日に増配を発表しただけではない。アナリストが相次ぎ強気の見通しを出している「買える株」のはずだった。
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 この日に売られた理由は「国内機関投資家の期末の決算対策売り」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)と見るのが自然だ。長谷工株は2日に昨年来高値を更新しており、格好の標的になりやすかった。
 3日に下落が目立った日経平均株価の構成銘柄は、2016年度に株価が日経平均を大きく上回って上昇していたものが多い。例えばSUMCOはこの日、5%安くなった。決算対策売りは 、先物の3月物の清算に絡んで商いが膨らみがちな「3月半ばまで断続的に続く可能性」(カブドットコム証券の河合達憲氏)があるという。
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 この時期は持ち合い解消の売りも出やすい。金融機関は株価変動による経営リスクを軽減する狙いから、企業との持ち合い株を段階的に減らしていく方針を示している。期末時点の進捗状況を開示する必要があるため、進捗が遅れている金融機関は駆け込みで帳尻を合わせに来るのだ。
 どうせならできるだけ高く売りたいはず。こう考えれば、持ち合い解消売りの標的が見えてくる。(1)16年度が好業績で、(2)3月以降に昨年来高値を付けており、(3)金融機関の株式保有比率が3割以上、の銘柄だ。時価総額上位では宝ホールディングスや住友林業といった名前が並ぶ。
 こうした銘柄について「どこまで上がるか値動きをみているが、そろそろ売却したい」(国内機関投資家のファンドマネジャー)と機会をうかがっている機関投資家が増えている。
 一方、3月は例年、別の需給要因も働く。配当取り狙いの買いだ。みずほフィナンシャルグループ(3・52%)や武田薬品工業(3・41%)、伊藤忠商事 (3・36%)といった代表的な高配当利回り銘柄はこの時期、特に個人投資家の注目を集めやすい。
 3日にはエムスリーが未定としていた期末配当予想を前期比1円増の10円にすると発表した。上場企業の17年3月期の純利益と配当の予想から算出した配当性向は33%と、16年3月期の実績(34%)を下回っている。配当性向の目標を引き上げる企業が相次いでいることを考えれば、増配余地はまだありそうだ。
 だが、配当利回りの高さや増配のニュースだけに着目した買いの危うさは、この日の長谷工株があらわにしてしまった。2万円を前に足踏みが続く日経平均の大台回復は、もうしばらくお預けかもしれない。(藤原隆人)