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儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

「売り推奨」株高呼ぶ――企業、株主還元強化で対抗

 ヘッジファンドなどから「売り推奨リポート」を出された企業の株価が力強い動きをしている。リポートの内容に反論するだけにとどまらず、対抗策として自社株買いなど株主還元策の強化にまで踏み込むケースが実は多いからだ。「売り推奨」が巡り巡って株高要因に転じるという意外な構図だ。
 28日の日経平均株価は反発したものの、大引けにかけて急速に伸び悩み、上値は重かった。そんな地合いのなかで健闘したのが売り推奨リポートの標的になった銘柄群だ。
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 代表例が空圧制御機器のSMC。28日は小幅安で終えたものの、午前中は買いを集め、昨年来高値(3万3230円)に接近する場面があった。昨年末比では14%上昇し、ほぼ横ばいの日経平均を大きく上回る。
 同社に対しては昨年12月、弁護士出身の荒井裕樹氏率いる調査会社ウェル・インベストメンツ・リサーチが「現金保有残高の25%に相当する817億円が存在しない可能性がある」などとする売り推奨リポートを公表。だが、直後に付けた安値2万6355円より、今の株価は約2割高い水準。「売り推奨ショック」はもはや過去のものだ。
 背景には株主還元強化の姿 勢がある。SMCは今月再開した投資家との面談で「株主様への還元に注力する」と繰り返しているという。16年末で現預金残高が4679億円にのぼる一方、17年3月期の連結配当性向(予想)は13%強と上場企業の平均である3割前後を下回り、還元策を強化する余地は大きい。22日には米キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメントがSMC株を5%超を保有していることが判明した。
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 伊藤忠商事は売り推奨リポートを出された後、実際に株主還元策を強化した。昨年7月、米グラウカス・リサーチ・グループが会計処理に疑義があると公表した後、株価は10%超下落する場面があった。
 これに対抗するかのように、昨年11月には自社株の買いの実施を発表。2月上旬には証券アナリストらとの電話会議で、「今期に稼いだキャッシュの使途は自社株買いを含めて柔軟に考える」と回答。市場では「3月期末に資本配分の適正化の観点から自社株買いを実施する可能性が高い」(SMBC日興証券の森本晃シニアアナリスト)との見方が強まっており、足元の株価はリポート公表前を約3割上回る。
 昨年12月に米調査会社マディー・ウォーター ズ・リサーチが空売りを明らかにした日本電産も自社株取得枠を2・1倍に拡大した。株価はこのリポートが出る直前に比べ6%高い。
 一方、無配が続くユーグレナや赤字のサイバーダインも売り推奨リポートを受けているが、株価は切り返せていない。業績がさえず、株主還元の原資を豊富に抱えていない点が株価の格差につながっている。
 とかく「違和感」を指摘されがちな売り推奨リポート。ただ、上場企業に「手元資金の使い道」を再考するきっかけを与えたとすれば、「必要悪」としての役割があると言えないだろうか。(関口慶太)