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儲ける&儲かる!株式投資

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食品、主役になれるか――再編で資本効率改善に期待

スクランブル

 トランプ米大統領の議会演説を控え、27日の日経平均株価は4日続落した。ほぼ全業種が下げたなかで、底堅かったのが食品株だ。前週末に森永製菓・森永乳業の経営統合が報じられ、再編期待が広がった。食品株は低金利下で債券の代替として買われる半面、利益成長が追いつかず、割高さが敬遠されてきた。はたして資本効率を重視する経営で投資家の期待に応えられるのか――。
 「今期は両社とも最高益の見通し。事前に市場では統合への期待が薄かったので、サプライズだった」
 森永製菓、森永乳業の株価は27日も続伸した。クレディ・スイス証券の森将司アナリストは声を弾ませる。同日は他の食品株にも思惑が広がり、ニチレイが27年ぶりの高値、日清食品ホールディングスも昨年来高値を付けた。「過当競争が激しい冷凍食品など改善余地のある業界は多い」(国内証券)とみられている。
 09年に先行して経営統合を果たした明治ホールディングスは、約8年間で時価総額を5倍に増やした。前期の自己資本利益率(ROE)は16%で、統合時から11ポイント強も上昇した。アセットマネジメントOneの柏原延行運用本部調査グループ長は「過当競争 をやめ、マージンを確保できる再編に動けるかどうか」を注視する。
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 食品株は機関投資家にとって悩ましい存在だった。超低金利下で運用成績が上がらない債券の代わりとして資金が流れ込み、投資指標が高止まりしていたからだ。業種別株価指数「食料品」の予想株価収益率(PER)は13年春から全産業平均を上回る。昨年は割高さを敬遠し、投資家が売りに回る場面もあった。
 そんな食品大手が再編を成長への選択肢に選ぶようになれば、評価が変わる可能性がある。アバディーン投信投資顧問の窪田慶太インベストメントマネジャーは「自社だけで改善できる余地は小さくなってきた。M&A(合併・買収)は今後のテーマ」と期待する。
 黒子として注目されているのが、食品大手の大株主に名を連ねる大手商社の存在だ。16年春に発足した食肉大手、伊藤ハム・米久ホールディングスは三菱商事が大株主だ。三菱商事の垣内威彦社長は「業界や社会に好ましい案件なら我々が触媒になる。ターゲットはいくつもある」と話す。資本の論理を効かせ、水面下で生活産業分野の再編を進めようとしている様子をうかがわせる。
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 米国では食 品大手のクラフト・ハインツが食品・日用品大手の英蘭ユニリーバに買収提案したことが明らかになった。世界の合従連衡に比べれば日本のスケールはまだ小さい。大和証券の守田誠アナリストは「兄弟会社や系列の枠内にとどまり、市場の過当競争の緩和には不十分」と話す。
 資本効率を競い合う経営の土壌は食品業界にも浸透し始めた。次は系列を超えた再編もいとわず、成長を追求できるかどうか。食品株が浮上する条件は、少しずつそろい始めている。(成瀬美和)