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儲ける&儲かる!株式投資

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読めぬ為替より競争力―長期投資家の視点に変化

 15日の東京株式市場は熱気に乏しかった。この日は円安が追い風となり反発したが、ソシエテ・ジェネラル証券の杉原龍馬株式営業部長は「円安頼みの日本株に対して顧客は冷静だ」と話す。市場では、トランプ米大統領の心の内が読めない為替相場よりも長期の競争力を重視する投資家がじわり増えている。
 「為替相場は予想できず、顧客に責任を取れない」。英系のアバディーン投信投資顧問でインベストメント・マネジャーを務める窪田慶太氏はこう話す。
 同社が運用するファンドでは、円相場によって収益が大きく振れるマツダや富士重工業のような銘柄は円安効果でたとえ大幅増益が見込めても組み入れないという。窪田氏は「投資対象にするかどうかのカギは技術とブランド力を背景にした長期的な競争力」と投資哲学を語る。
 長期競争力をどう予測すべきか。トムソン・ロイターは、アナリストによる今後3~5年の1株利益の年成長率の予想平均値をまとめ、長期成長率として公表している。
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 アジアの大型株を組み入れたダウ・ジョーンズ・アジア・タイタンズ50指数では、日本企業は長期成長率上位10社に4社がランクインする。日 本勢のトップは長期成長率24・2%のホンダだ。一方、同じ自動車でもトヨタ自動車は2・9%、日産自動車は9・8%にとどまる。
 ホンダに投資する窪田氏は「主力車種『シビック』のモデルチェンジに成功し、外注部品の採用増加で原価低減も進んでいる」と前向きに評価する。
 株価も好調だ。ホンダは2016年末比の株価騰落率が6・3%高と日産自(4・1%安)やトヨタ(5・6%安)、マツダ(15・8%安)などを大きく上回る。
 一方、電機ではソニーやサムスン電子に対して、キヤノンの長期成長率がマイナス9・3%と低さが目立つ。
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 ただ世界は広い。アマゾン・ドット・コムは長期成長率見通しが37・8%に達する。米企業は株主から高い自己資本利益率(ROE)を求められる。このため「1ドルの投資で何セント回収できるか、経営陣は投資効率に極めてシビアだ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦洋平投資ストラテジスト)。これに対し、日本では不採算事業の継続や、買収企業の減損損失計上の例が珍しくなく、長期成長率を低下させている。
 日本株は「世界の景気敏感株」(岡三証券の阿部健児チーフス トラテジスト)というのが市場の定説。米金利と日本株の相関性に注目して売買する投資家が多い。米バンクオブアメリカ・メリルリンチの調べによると、日本企業の業績改善度は世界トップだ。
 だが同社の2月のファンドマネジャー調査で日本株への配分比率は前月比1ポイントとわずかながら低下した。円安効果は既に織り込まれている。そして一部の長期投資家の視点はトランプ米大統領の登場で一段と予測が難しくなった円安・円高から企業の長期的な競争力に変わりつつある。(土居倫之)