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儲ける&儲かる!株式投資

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トランプ氏だけでない―景気への強気論、株高の底流

 10日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反発し、上げ幅は今年2番目の大きさだった。引き金を引いたのは、またしてもトランプ米大統領だ。減税などの景気刺激策を示唆し、投資家心理が改善。日本株にも買いが波及した格好だが、「トランプ相場」の一環と判断すると相場の底流を見誤ることになる。
 トランプ氏による一撃だけが演出したかに見える10日の展開だが、前日までのオプション取引に大幅高の予兆を感じた市場関係者は多い。フェアラインパートナーズの堀川秀樹代表もその一人だ。結果次第で相場を大きく揺るがす日米首脳会談を控えていたにもかかわらず、「(売る権利であるプットの購入など)下落リスクに備える動きが驚くほど乏しかった」と話す。
 10日は好材料と受け止められたトランプ氏の発言だが、売り材料となることも珍しくない。ドル高への警戒感をにじませただけで日本株は急落。「あまのじゃく」なトランプ氏の言動はもろ刃の剣だ。
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 予想しづらい言動に市場で警戒感が広がっているかと思いきや、投資家心理を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)が映す景色は異なる。今週前半に日経平均が一 進一退となる中でも、日経平均VIはじわりと低下。欧米でも同様の指数は低水準にある。不安が高まった局面で上昇する傾向がある同指数の特徴を勘案すると、投資家は下値不安を抱えていないことになる。
 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真チーフ・ポートフォリオストラテジストは「政治の不確実性を警戒しながらも、投資家の本音は日本を含む世界株に強気だ」と分析する。1月下旬に欧州を訪問した際に債券の比重を減らして株式を高めようとする投資家が多かったという。
 米ジャナス・キャピタル・マネジメントでリサーチ・ダイレクターを務めるカーメル・ウェルソ氏は「トランプ氏の発言に一喜一憂しない」と指摘。企業業績の改善が見込める日米株には上昇余地があるとみる。
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 強気の背景にあるのは世界景気の回復傾向だ。T&Dアセットマネジメントの神谷尚志チーフ・エコノミストが地合いを読み解くカギとして挙げるのは、代表的な商品市況の指標である「CRB原材料指数」。原油や金など投機色の強い商品を除き、銅や亜鉛などの実需を反映する傾向がある同指数は2年4カ月ぶりの高水準にある。「実体経済の強さを示してい る」(神谷氏)というわけだ。
 世界景気の足腰の強さは日本株にとって好材料となる。大和証券によると、日本の主要企業の経常利益は2016年10~12月期に6四半期ぶりに前年同期比でプラスに転じたもよう。「半導体の需要増など、円安だけでない増益要因が見えてきた」(同社)という。業績や景気が回復するなら、債券から株式への資金移動は道理にかなっている。
 もちろん世界一の経済大国のカジをとるトランプ氏の影響力は大きい。保護主義色が強い施策を実行に移すとなれば状況は一変し、楽観論に浸るのは厳禁だろう。とはいえ、じわり広がる強気を軽んじることもできない。(菊地毅)