儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

「金持ち子会社」に照準――海外勢、使い道を問題視

 かつて親子関係だった富士電機と富士通が株式の持ち合いを縮小する。株の売却で得た資金は成長投資に充てるという。投資家が日本企業に期待するガバナンス(企業統治)改革では資本効率を意識した経営が求められ、両社の決断は改革の進展を期待させた。そして海外投資家が注目するもう一つの親子関係がある。パナソニックによるパナホームの完全子会社化だ。焦点は子会社が保有する多額の現金だという。
 日米首脳会談を控え様子見気分が強かった9日の東京株式市場。国内証券のトレーダーは「株主交換比率の見直し期待が織り込まれ始めた」とパナホーム株の値動きを解説した。
 パナソニックは6月の株主総会にパナホームの完全子会社化を提案する。承認されればパナホーム1株に対しパナソニック0・8株が配られる見通しだ。
□   □
 このスキームに異を唱えたのが海外投資家だ。香港を拠点とするオアシスはパナホーム株を5%保有する。その立場から「交換比率が少数株主に不利」と再考を求めた。別のアジアの運用会社も会社側に不満を表明したレターを送った。
 争点の一つはパナホームが抱える現金だ。昨年末の現金同等物は975億円 で時価総額の6割になる。クレディ・スイス証券の望月政広アナリストは「比率算定の基になるパナホームの企業価値評価でキャッシュが十分に考慮されていない可能性がある」と話す。
□   □
 現金の使い方も問題視する。740億円が親会社やグループ会社が活用できる「関係会社預け金」として拠出されていたためだ。オアシスのセス・フィッシャー最高投資責任者は「パナホームの成長に使われるべき資金が親会社に『接収』されていた」とみる。
 上場子会社から親会社への「預け金」は投資家が以前から問題視していた。米RMBキャピタルの細水政和・日本株式投資部長は「会社側は『銀行預金より有利』というが投資家は最低でも1ケタ台後半のリターンを求めている」と嘆く。
 ファナックの大幅増配やセブン&アイ・ホールディングスにおける経営陣の交代劇など海外勢の声は企業統治改革の契機となり、それに伴う株主還元の拡大が市場に評価されてきた。
 パナソニックにとって完全子会社化は親子上場を解消し、事業競争力を高めて資本効率を向上させる戦略になる。しかし、海外勢による問題提起で少数株主の保護という古くて新しい課題が改めて 認識された。今年の株主総会シーズンで親子上場が一大テーマに浮上する可能性がある。
 パナホームの関係者は9日、株式交換比率は少数株主にとって妥当とした上で「追加的に情報を公表する予定」と明らかにした。丁寧な対話を通じて株主の理解を得られるのか。海外投資家はその行方を見守っている。(宮本岳則)