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底堅さの裏に「青い鯨」――かんぽ生命、高まる存在感

 米大統領選以降の円安進行と日本株高は、すっかり影を潜めてしまった。一時は1ドル=118円台を付けた円相場は7日、111円台に上昇。株式市場でも円高への警戒感が強まっている。しかし、その割に株価は底堅い。この日の日経平均株価も午後に急速に下げ渋った。需給面から背景を探ると、ある押し目買い主体が浮かび上がる。かんぽ生命保険だ。
 「やはり日経平均が1万9000円を割ると国内勢の買いが入る」(大和証券の池端幸雄グローバル・エクイティ・トレーディング部担当部長)。この日も聞かれた市場の解説では、「国内勢」といえば主役は日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だった。最近はこれにかんぽ生命が加わったという。そのコーポレートカラーから、市場では「青いミニ鯨」とも称される。
 かんぽ生命は2016年度下期に円金利資産の残高を圧縮する一方、収益向上に向けてリスク資産を増やす計画を進めている。軸となるのは高配当銘柄への個別投資だ。上場をきっかけに自家運用体制を整え「トランプラリーに関係なく株式への投資を進める」(かんぽ生命幹部)という。
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 買い余力はいかほどか。16 年9月末時点の国内株式が総資産に占める比率は1・6%。生命保険協会によればかんぽ生命を除く生保の株式保有比率は8・4%(15年度)で、彼我の差は大きい。残高は1兆2979億円だから、比率を2倍にするだけで1兆円強の買いが見込める計算だ。
 市場ではかんぽ生命の買い手法にも関心が集まる。かんぽ生命自身の予想配当利回りは2・24%。この数字を上回る高配当利回り銘柄を物色しているようなのだ。7日はリコー(利回り3・7%)や武田薬品工業(同3・6%)の株価が逆行高となった。配当利回りが高い50銘柄で構成する日経平均高配当株50指数も昨年末比で1%高と堅調だ。
 買い主体として、他の生保にも期待できそうだ。「米金利上昇で外債投資がしやすくなったんじゃないですか」。ある大手生保の運用担当役員に質問をぶつけてみたところ、返ってきたのは意外な答えだった。「そんなに甘くない。銘柄によっては株式のほうが買いやすいんだよ」
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 背景は為替ヘッジ(回避)費用の高止まりだ。足元のヘッジ費用は1・5%程度と14年度の7倍の水準だ。米債投資ではその分利回りが圧縮される。三菱UFJ国際投信の荒 武秀至経済調査部長は「ヘッジ費用は当分高止まりする」とみる。そこで代替投資先の一つになるのが日本株だ。積極的に上値を追うような買いは見込めなくても「下落局面で押し目買いしたい」(富国生命保険の山田一郎株式部長)との声は根強い。
 日銀は昨年8月以降、3兆2000億円強の上場投資信託(ETF)を買った。年6兆円枠に照らせばオーバーペースで、買いにブレーキがかかるとの観測も出始めた。GPIFも米国のインフラに投資する可能性が取り沙汰され、視線は海外に向く。株価指数連動型で幅広い銘柄を買うクジラの存在感は相対的に低下しそう。選別投資が報われる局面が来るかもしれない。(関口慶太)