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儲ける&儲かる!株式投資

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野村株、独歩高の死角―個人資金流出、兜町に春遠く

スクランブル

 証券業界に元気がない。昨年11月以降の「トランプ相場」も、個人マネーは株式市場から逃げ出すばかり。野村ホールディングス(HD)の株高は、むしろ例外に近い存在だ。短期の売買手数料から預かり資産の積み上げに戦略の転換を急ぐ各社。狙い通りに行かない証券業界の苦境は、日本株に対する個人マネーの気迷いを映す。
 3日、野村HD株は3日続伸した。1月31日に発表した2016年10~12月期の連結純利益が前年同期の約2倍と市場予想を上回ったのが好感された。
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 「選択と集中を進めた海外に手応えを感じている」。決算会見した北村巧・財務統括責任者(CFO)の表情は明るかった。昨年11月の米大統領選から金利上昇とドル高が進み、リスク回避に向けた機関投資家の取引が活発化。債券トレーディング部門がけん引し、海外の税引き前損益は今期、7年ぶりの黒字化が視野に入った。海外で稼ぐ利益が初の1000億円台に乗せる可能性さえある。
 野村にも悩みの種はある。国内の個人営業の伸び悩みだ。10~12月期は自社の販売する投資信託から差し引き1000億円を超える資金が流出した。
 背景に潜むのは、 日本株に対する個人投資家の気迷いだ。日経平均株価が2万円を超えて上昇するという楽観ムードが醸成されず、投信市場ではマネー・リザーブ・ファンド(MRF)に過去最高となる12兆円超の資金が積み上がったまま。「トランプ相場」は結果として、個人が塩漬け株を売却する絶好の機会になっている。「やれやれの売り注文」が殺到する一方、個人マネーの新たな流入は乏しい状況が続く。
 ドイツ証券の村木正雄グローバル金融ストラテジストは「投資家の高齢化も進み、資金流出は構造的な問題の可能性がある」という。
 国内を地盤にする準大手・中堅証券会社ほど苦悩は色濃い。「株式の手数料が激減し、投信販売も低迷した」。10~12月期に純利益が7割超減った丸三証券。小祝寿彦社長はうなだれるように話す。
 証券業界は「苦しい時は手数料収入でしのぐ歴史だった。もうそんなやり方は許されない」(小祝社長)。丸三証券は早くから投信の預かり資産を重視。今や業界全体が手数料依存からの脱却を急ぐ。
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 金融庁は昨年末、金融業に顧客本位の業務運営を求める報告書をまとめた。低コストの長期投資により、「国民の安定的な資産 形成を実現すべきだ」と結論づけた。至極まっとうな指摘も、証券業界にとっては「ますます稼げない現実」(地場証券の首脳)を突きつけられたのも同然だ。
 「貯蓄から投資へ」の流れで最大の課題となる若年層の取り込みも思うように進まず、日本橋・兜町には業界再編や自主廃業の噂が飛び交う。
 野村の北村CFOは「相場は悲観で生まれ、懐疑で育つ」という格言に言及しながら、足元は「よい相場が育ちつつある」と力を込める。個人の株式投資の流れを太くするには時間がかかる。証券株が予兆するように、寒風吹く兜町に春の気配は遠い。(川上穣)