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芽吹き始めたAI相場――「感情なき投資」個人惑わす

 日本の為替政策への批判などトランプ米大統領の発言に揺れ動く株式市場が、人工知能(AI)運用の活躍機会をつくっている。急変動する相場でも淡々と利益を積み重ねるAIは、個人の投資動向にも影響を与え始めた。
 「AIのプログラムが働いた」。1日の取引開始直後に2・3%安となったトヨタ自動車株に、AIによる自動運用の存在を意識した市場関係者は多い。「トランプ発言に反応するAIが動いたとしてもおかしくない」(ファイブスター投信投資顧問の大木将充取締役運用部長)
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 AIにはトヨタ売りの実績がある。米ベンチャー企業のT3がつくった運用システム「トランプ・アンド・ダンプ」は、1月にトヨタ株を空売りして大もうけしたとされる。トランプ氏がツイッターに投稿した内容を自動的に分析し、トヨタのメキシコ工場建設を批判した際にすかさず売りを出した。
 東京市場でもAI運用は急拡大している。数兆円規模の運用資産を持つ米ファンド、ルネッサンス・テクノロジーズがその代表だ。
 「トランプ・ラリー」に沸いた昨年11月以降は売買の活発さが目立つ。前日には液晶パネル関連装置のブイ・テクノロジー、 ゲーム関連のマイネットの大量保有が明らかになった。
 このファンドは経済動向などに見向きもせず、株価の動きを精緻に分析したうえで機械的に売買しているようだ。人の判断を介在させず、トランプ発言にいちいち反応しない。株価の上昇局面で少しずつ買い増し、一定の含み益が出た段階で売却に回る。大量保有報告書から試算すると、保有する各銘柄の時価は買値より5~25%ほど高い。
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 AIの動向に個人投資家はやきもきする。「ルネッサンスが売りに動くのでは」。1日の市場では恐怖心とも言える思惑でVテク株やマイネット株が乱高下した。マイネットは朝方に5%高となった後に売りが殺到し、14%安で引けた。
 人と違ってAIに感情はなく、投資家は次の一手を読みにくい。ルネッサンスの場合、大量保有の報告後、すぐに売却した「記録」があるだけだ。このため株価がちょっと下げただけで「大口投資家の売りが出たとの観測が広まり、個人のろうばい売りが膨らんだ」(楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリスト)。
 AI運用は広がる気配だ。野村証券は1月18日にAIでAI関連銘柄を選び、それらで構成 する「野村AIビジネス70」の公表を始めた。指数は東証株価指数(TOPIX)を上回って推移している。近く指数連動の上場商品が登場する見通しだ。三菱UFJ国際投信もAIが運用に関わる投資信託を設定した。
 どこまで広がるのか。損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの狩野泰宏シニア・インベストメントマネージャーは「企業分析に基づく中長期の業績予測など人がAIに勝てる点はまだ多い」と話す。
 想像力をたくましくして「夢を買う」投資をし、市場心理のあやを見抜いて売買する。この点で人はまだ優位だ。だが日々進化するAIに追い付かれないためには、人も深層学習を続けていくしかない。(菊地毅)