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「為替離れ」探る日本株――脱トランプリスクに布石

 重苦しい空気が株式市場を覆っている。原因は20日に就任したトランプ米大統領。異端の大統領が矢継ぎ早に繰り出す保護主義的な政策方針を目の当たりにし、参加者は円安・株高のトランプラリーの逆流を警戒する。だが過度の悲観は禁物だろう。日本株が長くその影響から逃れられなかった「為替」のくびきから脱する兆候がみえるからだ。
 「トランプリスク」を恐れる胸の内を、国内運用会社のファンドマネジャーはこう表現する。「結局のところ日本株は為替次第。トランプ氏が保護主義的な姿勢を鮮明にするほど円高・ドル安が進む可能性が高いわけで、そう考えるとこの局面では買えませんよね」
 とはいえ、そのセオリー通りに動かなくなっているのが最近の日本株。それは円相場と日経平均を重ね合わせるとはっきりする。昨年7月辺りから両者の連動性が崩れ、円高局面でも日経平均はそれほど下げなくなってきているのだ。
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 株と為替の連動性が崩れた理由としては「日銀が株を買い支えているから」という説明が一般的。昨年7月末に日銀がETF(上場投資信託)の買い入れ額を3兆円から6兆円に引き上げたのに由来する。理由はそれだけ なのだろうか。
 野村証券の松浦寿雄氏の分析によると、増額後の日銀のETF買いの日経平均に対するインパクトは1回あたり約30円になるという。増額後に日銀は買い入れを40回実施したので、日経平均の押し上げ幅は計約1200円と計算できる。
 昨年7月以降、一気に広がった日経平均と円相場の乖離度合いを日経平均の水準に引き直してみれば、ざっと2000円になる。日銀のETF買いだけではすべてを説明できない。
 その差を埋めるのが企業業績だ。その証拠に、アナリストの業績予想の上方修正の数から下方修正の数を引いた比率を示す「リビジョンインデックス」が昨年7月に大底を入れた。業績が回復に向かうという市場の期待が、円高でも下がりにくくなった日本株相場のもう1人の立役者だ。
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 その企業の業績回復が足元の円安の結果ということであれば、話はぐるっと回って振り出しに戻ってしまう。だが三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里氏はこうした「円安起源説」を否定。「昨年秋からの業績上方修正は為替だけでは説明できない。日本企業が海外生産拡大で為替感応度を引き下げる収益構造の転換を進めたと ころに、世界景気の回復の追い風が吹いた」と話す。
 製造業の海外現地法人売上高と名目輸出額の動きをみると、2008~09年の金融危機を境に「非連続的な変化」が起きていることが分かる。それまでは両者はパラレルに動いてきたが、09年以降は後者があまり伸びない一方で、前者が右肩上がりで増えている。
 日米貿易摩擦の時代を彷彿とさせるトランプ米大統領の発言だが、海外生産の拡大が日本企業側のほぼ唯一の対抗策だろう。そして今の日本株の「為替離れ」はそんな日本企業の変化を市場が見抜き始めている証左だ。市場にはトランプリスクからの解放に向けた布石がすでに打たれている。(証券部次長 川崎健)