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儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

視線は「非トランプ」へ――海外勢、成長投資にシフト

 18日の日経平均株価は乱高下し、午前と午後でそれぞれ100円超も上下した。トランプ次期米大統領の一挙手一投足に翻弄されやすい地合いが改めて鮮明になった。ただ、海外投資家の動きに目をこらすと、総花的な「期待」先行から、収益や競争力という「現実」を改めて評価する成長投資にシフトしている。
 「トランプ氏の恩恵は続かない」。シンガポールに拠点を構える投資ファンドの運用担当者は昨年12月中旬以降、自動車関連を中心に米国依存度の比較的高い製造業の持ち高を減らしている。代わりに電子部品や機械で本業の収益力が強かったり、株主への安定還元を実施したりする銘柄を買い増しているという。
 18日、上場来高値を更新した信越化学工業が代表例だ。米国市場を重視しつつも、今年1月から半導体向け主要部材で11年ぶりの値上げを実現。収益全体に弾みが付きやすい。塩ビ樹脂や化粧品原料など幅広い事業も堅調だ。ムダの少ない投資でキャッシュフローを稼ぎ、次の投資に充てる――。その好循環から「2018年3月期には最高益を達成できる」(国内証券アナリスト)との見方が株価を押し上げている。
 一方、米国売上高比率の高 さやドル高・円安の恩恵だけを手掛かりに買われてきた「トランプ銘柄」の値動きは鈍い。米国比率が3割を超えるトヨタ自動車や日産自動車、コマツ、キヤノンなどの株価は昨年末比で軒並み下落している。
 トランプ氏が就任する20日以降の経済政策によっては再び買われる可能性はあるが、足元は「変動リスクの大きなトランプ銘柄一点にベットする投資家は減り始めている」(ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄氏)。
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 海外勢が先回り買いを入れているのはソニーや日本電産、日立製作所、ロームなど「非トランプ」銘柄だ。焦点は北米の売上高比率の高低だけではない。高い製品シェアや技術力に基づく確かな競争力、構造改革で得た強い収益体質など成長の条件で頭ひとつ抜きんでている企業を絞り込む。
 中でもソニーの株価は昨年末以降で6%強上昇し、日経平均(約1%安)はもちろん、非トランプ銘柄の中でも評価は高い。熊本地震の影響もあり今期は営業減益だが、ゲーム機「プレイステーション4」やスマートフォン用画像センサーなどソニーならではの製品が好調。来期は20年ぶりの営業最高益が視野に入る。
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  収益体質の改善に向け矢継ぎ早に対策を実施する日立の評価も上がってきた。昨春に決めた物流や金融事業に続き、年明けには日立工機の売却を発表した。今期は人員整理や採算性のさえない海外プラントからの撤退も進めている。
 米景気が上向くなか、「トランプ銘柄への期待がはげ落ちたわけではない」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹氏)。それでも単純にトランプ相場に乗った総花的な割安株投資は身を潜め始めている。じっくりと個別企業を見極める成長株投資が本流になれば、日本株の強さを評価する海外マネーが環流する可能性がある。(田中博人)