読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

トランプ相場曲がり角―信用バブルに反転リスク

 昨年11月からの「トランプ相場」に陰りが出てきた。20日に就任式を迎えるトランプ次期米大統領の政策期待が日増しに揺らぎ、日米株の上値は重い。市場を支配していた楽観が勢いを失い、中長期のリスクシナリオがにわかに意識され始めた。先進国のカネ余りが長い期間をかけて醸成した「信用バブル」の反転リスクだ。
 16日の日経平均は一時200円超下げた。国内の大手証券トレーダーは「トランプ氏の『マイナス発言』が止まらず、外国人の先物買いがパタリとやんだ」と嘆く。この日も英国のEU(欧州連合)離脱を「素晴らしい」と発言したと伝わり、通商面での保護主義への警戒が強まった。
 規制緩和と財政拡張への期待がもたらした「トランプ相場」。だが、先週の当選後初めての記者会見では具体策は示されず、失望感が広がった。20日の就任後に払拭されることはあるのだろうか。
□   □
 米国の政治経済に詳しいみずほ総合研究所の安井明彦・欧米調査部長は懐疑的だ。「米議会では現行の医療保険制度(オバマケア)が先行して議論され、財政政策が後回しになる恐れがある」と話す。インフラ投資や減税策の実行が遅れれば、投資マネ ーが株式などに向かう流れは逆行する。
 悩ましいのはトランプ新政権が大型減税や財政拡大を実現しても、それが「信用危機」という別のリスクを誘発することだ。債券市場が震源となり株式市場が打撃を受ける、中長期のリスクシナリオだ。
□   □
 2008年の金融危機後の金融緩和は世界的な「借金の膨張」を招いた。民間と政府の債務の合計が国内総生産(GDP)に占める比率は主要国で上昇し続けている。野村証券の松沢中・チーフ金利ストラテジストによると、こうした信用には膨張と収縮の「10年サイクル」があり、18年ごろに信用収縮が顕在化する可能性があるという。
 振り返れば90年代末からの「ITバブル」崩壊後にも米国で大規模な金融緩和があった。04年に米国が利上げし、欧州や日本が金融引き締めで追随。結果的に米国の不動産バブルの終わりを招く一因になった。
 今回も米景気が上振れすれば、米連邦準備理事会(FRB)はインフレを恐れてさらなる利上げに動く。日米金利差の拡大が一段の円安・ドル高を招きかねず、「ドル高阻止を狙ってトランプ氏が日欧の緩和策の修正を迫る公算が大きい」(松沢氏)。先進国の緩和 策が終わりカネ余りが解消に向かえば、リスクマネーが株式から流出し、日本株にも打撃を与える可能性がある。
 もちろん日経平均など日米の株価指数は「2万円・2万ドル」の大台をうかがう水準で、極端な悲観は不要との見方もある。米経済の成長加速が「よい金利上昇」を招き、結果として債券から株式に資金がシフトする期待が根強いのも事実だ。
 だが約8年に及ぶ信用膨張がどのような帰結を招くかの目配りは欠かせない。トランプ政権の始動は果たして世界の株式相場に何をもたらすのか。不確実性を増す時代が、その答えをかつてないほど難しくしている。(川上穣)