読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

増配株に長期マネー――企業の本質的強さで物色

 10日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落した。いわゆる「トランプ相場」は一服しつつあるとはいえ、相場が勢いを失いつつあると判断するのは早計だろう。市場でじわり広がる潮流を見過ごすと方向感を見誤りかねない。
 「年金など長期マネーは急騰相場の先をにらんで『増配株』を買っています」。大手証券のトレーダーは明かす。話題に上ったのは高配当銘柄ではない。毎年のように配当を増やす「増配株」や「配当成長株」と呼ばれる銘柄群だ。相場全体が売りに押された10日も、増配株として知られる三菱UFJリースやサンドラッグは上昇した。
 トランプ相場を主導したのは、金利上昇やインフレが追い風となる銀行や資源株だ。これらの「リフレ銘柄」の派手な値動きに隠れ気味だが、教科書的には金利上昇で魅力が低下しがちな増配株も健闘する。
□   □
 米国では5年以上連続で増配した銘柄を組み込む「モーニングスターUS配当成長指数」が大統領選後に6・2%上昇。S&P500種株価指数(6%高)を上回った。日本株でも増配株に追い風が吹く。10年以上の連続増配企業などで構成する「S&P/JPX配当貴族指数」は堅調に 推移し、上昇率は日経平均株価をやや上回った。
 リフレ期待と増配株買いの共存を読み解くカギは何か。世界最大の米運用会社ブラックロックは「製品の値上げに動けること」を理由の一つに挙げ、増配株投資に前向きな姿勢を示す。配当を継続して上げるためには、裏付けとなる収益基盤の強さが必要だ。商品やサービスの競争力があってこそで、物価上昇局面での値上げ浸透でライバルと差がつくというわけだ。
 アベノミクス相場でも、2014~15年に物価が上昇する中で企業の「値上げ力」が株価の明暗を分けた。明治ホールディングスは値上げで利益を増やし、16年3月期まで2期連続で増配。相場の柱として注目を集めた記憶は新しい。中古車オークションを手掛けるユー・エス・エスは手数料を値上げし、株価は分割を考慮すると15年に実質的な上場来高値を付けた。同社は16期連続で増配中だ。
□   □
 野村証券の松浦寿雄チーフストラテジストは、昨年後半から始まった上昇相場の裏テーマを「構造改革」と読み解く。国内で企業統治改革の機運が高まって4年目。株主の後押しのもと、企業が自己資本利益率(ROE)を高める動きはまだ始まった ばかりだ。増配は企業の変化を映す指標となるといい、凸版印刷やセイノーホールディングスなどのROE上昇余地が大きいとみる。
 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、企業の構造改革を後押しする。資金を委託する運用会社の評価で、企業との対話力を重視。東京海上アセットマネジメントの大場昭義会長は「行動なき理念は無価値」と語り、構造改革を側面支援する考えを示す。
 市場では財政をふかすトランプ相場への警戒感ももたげてきた。企業の本質的な強さを映す「増配」を切り口とした銘柄物色が注目だ。(松崎雄典)