読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

「灰色の白鳥」の実現性―少数派が描く株高シナリオ

 大発会の株高に沸いた市場参加者たちもおとそ気分から早々と現実に引き戻されたかのようだ。トランプ次期米政権の保護主義、中国経済の失速……。相場が弱含みで推移した6日にそこかしこで聞かれたのは懸念材料ばかり。波乱が今年の相場のキーワードだとすれば、上にも下にも大きく動くはず。予想外の上昇シナリオを描く少数意見にも耳を傾けてみた。
 「トランプ・ラリーもそろそろ潮時ですね」。6日、トヨタ自動車が計画するメキシコ工場新設について撤回を求めたトランプ次期米大統領のツイッター投稿を受け、大手証券のトレーダーは力なくつぶやいた。
 6日は自動車株など輸出関連株が売りに押された。トランプ氏の「ツイッター口撃」は同氏への期待ばかりを膨らませてきた市場参加者を現実に引き戻した。
 確率は低いが、起きれば重大な打撃を及ぼす事象をマーケットでは「ブラックスワン(黒い白鳥)」と呼ぶ。トランプ氏のツイッターを機に6日の市場では参加者たちが様々なブラックスワンを予想しはじめた。
□   □
 ブラックスワンはその定義上、誰も事前に予想できない。だがグレースワン(灰色の白鳥)なら暗闇でもぼんやりと 姿を見られるだろう。そんな意味を込めて野村証券のエコノミストチームは「2017年の10大グレースワン」と題したリポートを世界の機関投資家向けに配り始めた。
 中国が変動相場制に移行、英国が欧州連合(EU)離脱を撤回……。リスクシナリオの一つとして野村が盛り込むのが「日本のインフレ率急上昇」だ。
 全国消費者物価指数(CPI)上昇率がマイナス圏に沈む中で突拍子もないシナリオにも映るが、根拠はある。逆相関で動いてきたドル相場と原油価格の関係が昨年11月から崩れ、ドル高と原油高が同時進行し始めた点だ。
 ドル高は輸入品の価格上昇を通じて、原油高は原材料やエネルギー価格の上昇を通じて日本の物価を押し上げる。互いに物価上昇圧力を打ち消し合ってきた両者が、昨年11月からはともにインフレ圧力に働く。
 「ドル高・円安の影響は5四半期後、原油高の影響は3四半期後とタイムラグがあるが、コアCPIを1ドル=10円の円安で0・4%、1バレル10ドルの原油高で0・3%押し上げる」。野村の高橋泰洋氏はこう読む。
□   □
 仮にそのシナリオが実現した場合、株価にはどう影響するのか。「日銀がイ ールドカーブコントロールで長期金利をゼロ近辺に抑え続けるという前提付きだが、いよいよ日本の個人が貯蓄から投資へと動き出すきっかけになる」。野村のある幹部は予想する。預金金利が上がらない中で物価だけ上がれば、日本の個人マネーが株式市場に本格的にシフトするとの読みだ。
 日経平均オプション市場では昨年12月中旬から下落に備えるプットオプション(売る権利)の建玉がじわじわと積み上がり、市場参加者の多くは相場の下落に備える。だが予想外の相場変動が上方向にも起きるのは、トランプ・ラリーで経験したばかり。インフレ到来のリスクシナリオは、頭の片隅にとどめておいていいかもしれない。(証券部次長 川崎健)