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上値を追う自社株買い―資本効率重視、背中押す

 企業の自社株買いに注目が集まってきた。株価の下落局面での下支えの役割が目立ったが、一転して上値を追う存在になる可能性が出てきたからだ。背景は資本効率を意識するようになった日本企業の変化。市場は単なる需給の改善効果以上の期待を寄せる。
 「日本企業の変化の象徴だ」。大和証券の石黒英之氏は5日に日経平均株価に対して逆行高となった日本電産株から市場の強い期待を感じ取ったという。昨年11月上旬に始まった「トランプ相場」では、前半戦こそ出遅れが目立った日電産株だが、12月20日以降でみると上昇率は日経平均を上回る。きっかけは自社株の取得枠を従来の2・1倍の500億円に引き上げるとの同日の発表だ。
 取得枠を設定した昨年1月以降に自社株を取得した実績はない。取得期限も今月26日に迫り、枠を使い切る見込みも小さくなってきた。それでも株価を押し上げたのは「経営陣の強いメッセージ」(石黒氏)を市場が感じ取ったためだろう。昨年12月に上限1500億円で自社株を取得すると打ち出したNTT株も5日は0・9%上昇した。
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 足元では、昨年11月の米大統領選直後のような海外投資家の買い の勢いに陰りが見え始めた。買い主体としての期待はおのずと国内勢に注がれる。16年の購入額が約5・3兆円(アイ・エヌ情報センター調べ)と過去最高を更新した自社株買いは「とりわけ期待が高い」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏)。
 米国を中心に金利が上昇する中では「これまでのように借金をしてまで自社株買いをする動きは鈍くなる」(JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳氏)との見方があるのは事実。だが、17年も高水準の自社株買いが続くとの期待は大きい。わざわざ借金をしなくても、自社株買いの原資は豊富なのだ。
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 上場企業は東証1部全体で100兆円規模の手元資金を抱える。17年3月期の業績も過去最高水準の利益が見込まれ「資金の有効活用のためには、自社株買いに動かざるを得ない」(T&Dアセットマネジメントの神谷尚志氏)。
 株価下落時の買い支え策に使うのが日本での自社株買いの歴史だった。日経平均が高値圏にある現状では、これまで通りなら自社株買い期待はさほど広がらなかったかもしれない。
 だが、足元では自己資本利益率(ROE)を持続的に高める手段としての活用が広がって いる。タンク大手のトーヨーカネツは昨年11月、配当と自社株買いを合わせた総還元性向を100%以上に高めると発表した。「資本効率を最大化する」のが狙いという。
 UBS証券の居林通氏は「株価水準に関係なく自社株買いを実施する企業は増える」とみる。「投資家から評価される構図が続いている」(同氏)ためだ。実際、積極的に自社株買いを実施する企業で構成する「S&P日本500自社株買い指数」は日経平均を上回っている。
 ニッセイ基礎研の井出氏によれば、3月期決算企業の業績が固まってくる2月以降に自社株買いの発表が増えてくるという。上値を追うような自社株買いが増えるなら、日本株上昇の持続力は予想以上に強くなりそうだ。(菊地毅)