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儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

東芝ショックの教訓―「いいとこ取り相場」危うさ

 大納会まであと1日。東芝株の急落が楽観ムードに冷水を浴びせた。時価総額は3日間で7800億円超吹き飛び、29日はメインバンクなど「関連銘柄」にも売りが広がった。巨額損失の可能性が明らかになる直前まで多くのアナリストが「買い推奨」を出し、米有力投資家も買いに動いていただけに、関係者の衝撃は大きい。年の瀬の東芝ショック、教訓は何か。
 お休みモードのはずのこの日、機関投資家は激しく動いた。米原発事業で巨額損失の可能性があるとの27日の会社発表を受け「長期投資家の見切り売りや、『倒産はない』と見たヘッジファンドの買いなどが交錯している」(国内大手証券のトレーダー)。29日には三井住友トラスト・ホールディングス(4%安)や三井住友フィナンシャルグループ(2%安)など金融機関にも売りが広がった。
 2016年の株式市場は6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定に始まり、多くの「まさか」に襲われたが、ここへきての最後の「まさか」。東芝株への証券アナリストの投資判断は、27日の直前まで13人中9人が「強気」の評価。株価はアナリストの1株利益予想の平均値が切り上げるにつれ上昇し、年初から2倍 近くになっていた。
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 大株主データには有力投資家の名が並ぶ。実質的な筆頭株主とみられる米キャピタル・リサーチは徹底的な企業分析と成長株投資に定評のある運用会社だ。11月30日時点の大量保有報告を出したばかり。「個別銘柄についてコメントはできない」と口を閉ざす。
 そもそも東芝は長期投資の対象として適切だったのか。東証から「特設注意市場銘柄」に指定され、内部管理体制の不備が指摘されていた。原発事業のリスクや脆弱な財務体質なども周知の事実だ。
 国内運用会社のファンドマネジャーは11月の社内会議を振り返る。会計不祥事後に保有ゼロにしていた東芝株の扱いが議題になった。一部の運用者が突然、「半導体需要の伸びが期待できる」と投資再開を提案してきたという。
 当時はトランプ相場真っ盛りで、訳ありの出遅れ銘柄が一斉に買い戻されていた。有望銘柄に選別投資するアクティブファンドの運用者は、持たない銘柄ばかりが上がる苦しい展開に陥った。市場平均に負けないよう「東芝にひかれる気持ちも分かる」と別のファンドマネジャーは話す。
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 日経平均株価は依然、5年連続上昇を視野 に入れる。「米大統領選などの雑音に一喜一憂せず、有望株に愚直に投資すれば、それなりの成績が出た年だった」。米RMBキャピタルの細水政和・日本株式投資部長は自戒を込めつつ、波乱の16年相場を振り返る。負の面を無視する「いいとこ取り相場」に浮かれ、投資家はリスクを取り過ぎていなかったか。東芝ショックは基本に立ち返る良い機会かもしれない。(宮本岳則)