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「脱・多角経営」に評価―税制追い風、銘柄間格差も

 26日の日経平均株価は小幅に3日続落だったが、2016年は5年連続の上昇が視野に入っている。「トランプ相場」がもたらした円安・ドル高という要因に加え、もう一つ大きな理由がある。「さらば多角経営」とばかり、有力企業の経営者が本業特化のために推進する「選択と集中」だ。税制面での追い風が吹く17年は、事業再編を巡る動きが銘柄間格差をさらに際立たせることになりそうだ。
 売買が閑散とした26日、アサヒグループホールディングス株は午後に一段高となり、終値は1・4%高と堅調だった。先週末に中国の農業・乳業事業を売却すると伝わった。非中核部門を手放す傍ら、東欧5カ国のビール事業買収に動くなど本業強化の姿勢に評価が高まっている。
 16年は事業再編が主要テーマだった。ある外資系ファンド首脳は「業績悪化でやむにやまれずではなく、自ら改革に動く経営者が日本で増えてきた」と話す。
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 武田薬品工業は12月中旬、子会社の和光純薬工業を富士フイルムホールディングスに売却すると決めた。同時に欧米での同業買収をうかがう。この動きを市場は評価し、武田株の値動きは業種別日経平均「医薬品」を大 きく上回る。電機ではカーナビゲーション譲渡などに動く富士通の株価が12月中旬に年初来高値を付けた。今年の安値の7月より2倍以上の水準だ。
 事業の買い手も低金利で資金調達できるとあって、かつてない良好な環境だ。どの案件もファンドや事業会社を巻き込む争奪戦で「高値で売却するなら絶好のタイミング」(外資系証券幹部)との指摘がある。足元でも消費関連や電機など水面下で交渉が進む。
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 今後、投資家には事業構成を見直す企業を見極める視点が重要になる。17年はさらに「多角経営の脱却」が加速しそうだからだ。
 その契機が、17年度から導入されるスピンオフ税制だ。企業の一部門を新会社として分離し、既存株主に新会社の株式を交付するのがスピンオフ。事業を切り出した企業と新会社の株式を受け取る既存株主に税金がかかったが17年度からは課税を繰り延べられる。
 みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「日本には相乗効果の低い事業を抱えた複合企業がなお多い」と話す。半導体や通信機器など7部門を抱える京セラはPBR(株価純資産倍率)が1倍割れ。電子部品に特化した村田製作所のPBRは2 ・7倍で格差が鮮明だ。神戸製鋼所や日清紡ホールディングスなどもPBRは1倍を下回る。数多くの事業を抱え株価が割安な銘柄は多い。
 海外勢も税制改正に関心を寄せ、菊地氏には物言う株主など米国の有力投資家から「スピンオフ税制の解説を求める電話会議の依頼が届いている」。パソコンと企業向けサービスに会社を分割した米ヒューレット・パッカード(HP)のような動きへの期待が日本企業にも高まりつつある。
 長らく低収益に甘んじてきた日本企業。いたずらに売上高を追わず、より利益率を重視する経営がじわりと広がる。改革の成否が、海外勢の日本株買いの持続力を左右する。(川上穣)