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「16分の宴」が示す迷い――新興国リスクじわり意識

 15日の東京株式市場で日経平均株価は8日続伸も、上げ幅は20円にとどまった。米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切り、円安が加速。朝方こそ買いで応えた株式市場だが、ほどなく失速。取引が一巡した後は小安い場面も目立った。急激な円安に見合うほどの強気姿勢はみられず、米金融当局が示したシグナルに戸惑いが広がった。
 投資家の気迷いが伝わる展開だった。外国為替市場で円相場は1ドル=117円台後半まで下落し、一気に3円近く円安に振れた。日経平均は取引早々に上げ幅を180円超まで拡大したが、時計の針が午前9時16分をまわると地合いが一変。かろうじて小幅高で終えたが、円安に沸いた宴(うたげ)は16分で終わった。
 「想定より速い」。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹氏は、FRBの追加利上げに向けた意気込みを感じた。今会合で政策金利の0・25%引き上げを決断することは想定通りとはいえ、米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者が示唆した2017年の利上げ回数は3回。事前予想では年2回が「相場」だっただけに驚きを誘い、日米金利差が拡大するとの見方を誘って大幅な円安につながったとい う。
 円安が日本企業にもたらす恩恵は大きい。企業が想定する為替レートは1ドル=100円程度。現状に近い118円の水準が続くと、主要輸出企業20社の今年度第4四半期(主に17年1~3月期)の営業利益を4000億円押し上げる。3カ月で今期通期の利益を7%ほど押し上げる計算だ。
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 市場の期待も大きい。証券アナリストによる業績予想の上方修正から下方修正を引いて計算する「リビジョン・インデックス」は、いわゆる「トランプ相場」が始まった11月半ばからは円相場との連動性を強め、上昇に勢いがついた。
 もっとも、米利上げがもたらしかねない「痛み」を警戒する雰囲気はある。15日のアジア株式市場では、中国やタイなど主要指数が軒並み下落した。1990年代には米利上げを契機に、新興国から米国へ資金が還流してメキシコ危機やアジア通貨危機が発生。当時の記憶はまだ新しく、連想が広がりやすい。各国の外貨準備は当時と比べて積み上がったが、11月の米株式ファンドへの資金流入額が416億ドル(約4兆7500億円)まで膨らんだのは無縁ではないだろう。
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 日本企業にとってもアジア各国 の懸念は「対岸の火事」とは言い切れない。スズキはインドの売上高比率が3割を超える。新興国経済が揺らげば収益が悪化しかねない。11月8日の米大統領選を起点とすると、日経平均は12%上昇したが、スズキは3%高にとどまる。新興国比率の高い銘柄は軒並み出遅れており、ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄氏は「(対ドルでの)円安という理由だけでは積極的に輸出株買いに動けない」とつれない。
 米金融政策が資金の流れを変えた歴史は数知れず。円安による企業収益の押し上げ効果は大きいが、新興国リスクというもろさも内包する。16分の宴で終わった相場は、難しい判断を迫られる投資家の苦悩を示している。(田中博人)