読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

危うさ映すキヤノン株―上昇相場に追随、業績伴わず

 米連邦公開市場委員会(FOMC)の直前でも投資家は様子見姿勢と無縁なのか。12日の日経平均株価は終値で1万9000円台を回復した。ただ、銀行株などトランプ相場の主役は下げる場面も。業績が伴わず上昇相場に追随する銘柄が他にもある。キヤノンだ。
 キヤノンの株価は12日、朝方に一時前週末比1%上昇すると、そのまま下げに転じた。終値は5円(0・14%)安の3417円。「米大統領選後の円安を機に買っていたヘッジファンドが利益確定売りに動いたようだ」(アセットマネジメントOneの鴨下健氏)
□   □
 キヤノンは先週、時価総額でキーエンスを上回り、約5カ月ぶりに電機株の首位に返り咲いた。12日も4兆5574億円と、キーエンスを1100億円強上回る。12月期決算で配当利回りが4%台と高く株価に弾みが付いた。時価総額は7月、ソニーに一時抜かれたが、キヤノンは輝きを取り戻したかのようにみえる。
 しかし、業績が伴った株高とはほど遠い。キヤノンの16年12月期営業利益は会社計画で2350億円。17年12月期について市場では弱気な見方が増えている。半年前は平均で3000億円を超えていた アナリストの来期予想は直近で2400億円まで低下。主力の複写機やデジタルカメラの事業環境は厳しく、好調な株価とは真逆の業績が続く。
 ゴールドマン・サックス証券の原尚史氏は、複写機などで価格競争に押し切られ「円安の恩恵を十分に享受できるか見えない」と指摘する。それでも堅調なキヤノン株は「構造的に業績がさえなくても、全体の流れで買いが入る今の相場を象徴している」(エピック・パートナーズ・インベストメンツの武英松氏)。
 キヤノンには投資家の焦りもにじむ。メリルリンチ日本証券の山田修輔氏は「日本株を手がけていない外国人からも『どう買えばいいのか』という問い合わせが増えている」と話す。山田氏によれば、株式相場全体の流れに乗る「マクロトレード」の投資家が多い。その傾向は米金利の上昇局面で一段と強まるという。
 今週の米利上げ観測に続き、市場では来年も2回の利上げを予想する声がある。JPモルガン証券の阪上亮太氏が世界の主要金利指数と日本株の相関を調べたところ、金利が上がると自動車や電機、銀行の各セクターでPER(株価収益率)が上昇。その結果、株高が加速する傾向が強い。米金利高で「日本 株は強含みで推移する」(阪上氏)根拠になっている。
□   □
 もっとも、米利上げには副作用も潜む。「景気次第で来年の利上げは3回の可能性もあり、新興国通貨安が進む懸念がある」(第一生命経済研究所の藤代宏一氏)。12日も新日鉄住金や商船三井など新興国関連株が軒並み下げた。キヤノンも直近でアジア・オセアニアの売上高が欧州を上回る。
 エピックの武氏は「外国人は例年、クリスマス休暇を控え先物・オプション取引の特別清算指数(SQ)算出日前後に年内の取引を終える傾向がある」という。今年の算出日は12月9日だった。キヤノンの下落は投資マネーが引き始めた兆候なのかもしれない。(浜岳彦)