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銀行株高に個人の苦虫―信用取引、続く買い戻し

 9日の東京市場で日経平均株価が連日の年初来高値となり、取引時間中は1万9000円台に乗せた。米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利するまでひたすら日本株を売り越してきた外国人投資家が買いに転じ、相場は堅調だ。その裏側では一部の個人投資家の「苦虫をかみつぶすような買い」も上昇に弾みをつけている。
 野村ホールディングス5%高、JXホールディングス3%高、三菱UFJフィナンシャル・グループ2%高。9日に上昇が目立った銘柄はいずれも信用取引の売り残ランキングの上位に顔を出す。なぜ売りが多いのに株価が上がるのか。
 信用取引の売りは先行きの相場下落を見込む投資家が使う。日経平均の25日移動平均乖離(かいり)率は5%を超え、相場の過熱を感じた投資家の売りを誘う。だが投資家の思惑と反対に株価が上昇すると、損失覚悟の買い戻しを迫られるのがこの取引の特徴だ。複数の銀行株を信用売りしてきたある個人投資家(36)は「今週は買い戻しばかり」と嘆く。
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 カブドットコム証券では米大統領選結果が判明する前日(11月8日)比で信用売りをした投資家の評価損は3倍に広がった。伊藤充淳営業推 進部課長は「メガバンク株や任天堂株で評価損を抱える投資家が多い」と話す。
 全体の信用売り残は9332億円と7年3カ月ぶりの水準に膨らんだ。日経平均が2万円台に乗せた15年春から夏にかけても信用売り残は増えたが今回はその勢いを上回る。みずほフィナンシャルグループ株の場合、2日時点の売り残は6162万株と米大統領選前に比べ3倍超に膨らんだ。
 負けがこめば損失を抑える買い戻しが入るため信用売り残は減少するはずだが、信用残がなかなか減らない。トランプ相場の持続性を疑い、年間を通じて体験した相場の乱高下への警戒感から先行きの相場下落の見方を崩さず、新たな信用売りに動いているのだ。
 信用売り残が高止まりした銘柄には目ざとい投機筋が狙いを定め、買いを入れる。それがさらに相場の上げを加速する。「日経平均が1万9000円台に乗せたので、空売り勢が耐えられずに買い戻しに動く」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との見方も出てきた。
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 売り手には試練が続くかもしれない。大和証券が米ミューチュアルファンドと上場投資信託(ETF)の資金流出額を調べたところ、大統領 選を境に資金の流れが真逆になった。米国株と日本株は流出から流入に、米国債券は流出から流入という具合だ。家入直希ストラテジストが年初から11月2日までの資金流出入額の絶対値を分母に3日以降の流出入額を分子にして「巻き戻し率」を出すと日本株は7%強と米国株の約3分の1。「外国人投資家の買いは始まったばかりの可能性が高い」(家入氏)
 12年11月以降のアベノミクス相場でも当初は個人投資家が一斉に売りに動いたが日経平均はその後4年で2倍に跳ね上がった。トランプノミクスは期待先行、と切り捨てる前に、投資の先入観見直しが必要かもしれない。(関口慶太)