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日本株高に残る違和感―円安効果、織り込み切れず

 日経平均株価の1万8500円超え定着に時間がかかっている。投資家の間では円安進行を好感した買いが優勢だが、市場関係者からは、ある「違和感」がささやかれる。米大統領選後の円安の進み具合ほど、日経平均は上昇していないとの指摘だ。なぜ感応度が鈍ってしまったのか。そこには「トランプ相場」を信じ切れない投資家心理が透けて見える。
 「円安効果をすべて織り込んでいれば、1万9000円を優に超えていてもおかしくないが……」。大和証券の鈴木政博氏は伸び悩む日経平均に対し、こんな疑問を投げかける。7日も終始買いが優勢だったが、終値で1万8500円台回復はならなかった。
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 日経平均と円相場の相関が高いのは周知の事実だ。大和の鈴木氏が2012年以降の円相場と日経平均の値動きをもとに分析したところ、約1円の円安で日経平均は240円上昇していたという。トランプ相場直前の円相場は1ドル=104円程度。足元は114円まで円安が進んでおり、日経平均は単純計算で2400円ほど上昇するはずだ。ところが実際の上げ幅は1300円ほどにとどまる。
 なぜこうした乖離(かいり)が生まれたのか。市場関 係者からは2つの仮説が聞こえてくる。まず日銀による上場投資信託(ETF)買い効果の低下だ。円高で株価が下落傾向にある局面では下支え効果を発揮したが、強気相場では買い入れる場面も限られ、株価の押し上げ力は弱くなる。
 ドル円と日経平均のチャートを重ねるとよく分かる。日銀が購入額の倍増を決めた7月末以降、日経平均は円相場が示唆する水準よりも1500~2000円ほど上方で推移していたが、足元で乖離が見られなくなった。日銀の“力業”によって円高の割に株価が十分調整しなかったため、強気局面で上昇に弾みがつきにくくなったともいえる。
 もう一つの理由として、対ドル以外の通貨でみると、円安はあまり進んでいないことが挙げられる。通貨の総合的な実力を示す実効為替レートをみると、日経平均が2万円台で推移していた昨年6月に比べて15%ほど円高の水準。野村アセットマネジメントの榊茂樹氏は「中国などアジア向け輸出が過半を占めるなかで、ドル円相場が示唆するほど、日本企業の輸出競争力は上がらない」とみる。
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 実は過去にも、円安速度に比べ日経平均の上昇が鈍かった局面はあった。14年10月の日 銀追加金融緩和時だ。円相場は1ドル=105円から121円まで円安が進んだが、日経平均の上昇幅は限られた。15年1月に入り再度上昇に転じ、円安を織り込む水準まで到達した。今回も年明けに企業業績予想の上方修正が相次ぎ、日経平均の上昇にも弾みがつく――。強気派は15年相場の再来を期待する。
 だがトランプ相場の持続性について「多くの投資家がまだ半信半疑」(アセットマネジメントOneの岩間恒氏)という状況。15年に2段階で上げた時は公的年金の動きを映す信託銀行が積極的に買った局面と重なるが、直近は売り越し基調だ。やはりもろさを内包した株高と認識した方が良さそうだ。(宮本岳則)