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儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

高配当株人気の裏側――トランプ相場なお半信半疑

 石油輸出国機構(OPEC)総会や英中央銀行による銀行の資産査定結果の公表を控えた11月30日の東京株式市場は、手控えムードが強まった。日経平均株価の上げ幅はわずか1円(0・01%)。その中で買われたのが高配当利回り株だ。背景を探ると、細かなマネーの流れの変化が見えてくる。
 「少し下げるとすぐに押し目買いが入る」。大和証券の池端幸雄グローバル・エクイティ・トレーディング部担当部長はこう語る。底堅い市場の雰囲気を示すのが、予想配当利回りの高さなどから構成銘柄を選ぶ「東証配当フォーカス100指数」だ。30日まで7日連続で上昇した。
 同指数の値動きを米大統領選の結果が判明する前日(11月8日)と比べると8・4%高と、上昇率は日経平均(6・6%)より大きい。30日には配当利回りが4%を超えるキヤノンが7連騰。キリンホールディングスも3日続伸した。
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 なぜトランプ相場で高配当株買いか。資金の出元を探ると不動産投資信託(REIT)にたどり着く。
 リーマン・ショック後の金融緩和競争の過程で世界で金利が低下を続け、少しでも利回りを確保したい投資家がREITに殺到。日 銀のマイナス金利導入がこの流れを加速させた。ドイチェ・アセット・マネジメント資産運用研究所によれば国内外の公募REIT投信の残高は11兆円を超す。
 だが、ドナルド・トランプ氏が米次期大統領に決まったことで目算が狂った。同氏が掲げる大型減税やインフラ投資は米国景気の回復を通じた「インフレ、高金利、株高が同居する期待を生んだ」(SMBC日興証券の圷正嗣株式ストラテジスト)からだ。
 米10年債利回りは一時2・4%程度まで上昇。借り入れが多いREITに金利高は逆風で、S&P先進国REIT指数の29日終値は8日比で約1%下落した。
 運用会社には「REIT資金の逃避先探しの相談が増えている」(三菱UFJ国際投信の代田秀雄取締役)。その一部が値動きの安定した日本の高配当利回り株に流れこんでいるもようだ。別な大手運用会社のある役員は「地域金融機関向けに高配当株などを組み込んだ私募投信の設定を準備している」と明かす。
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 足元の高配当株人気には気になる点もある。単に投資家の利回り追求の物色先が移っただけではない。「放置されてきた割安株に資金が流れ込んだ」(ニッセイアセット マネジメントの三国公靖上席運用部長)側面がある。それを端的に示すのが銀行株。三国氏は「米金利高は日本の銀行の業績改善にはつながらず、期待先行業種は売られる」と語る。30日は3メガバンク株はいずれも下落した。
 野村ホールディングスの永井浩二グループ最高経営責任者は30日、都内で開いた日本株カンファレンスで「暴風は過ぎ去ったが、まだ晴天と呼べる状況ではない」と語った。トランプ相場に置いていかれないために日本株を買いたい、でも値下がりへの抵抗力は欲しい――。高配当株人気は、株高の持続力への半信半疑という、投資家の本音を映している。(関口慶太)