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儲ける&儲かる!株式投資

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輸出株、崩れた定石――不透明な円安、「即買い」警戒

 米大統領選から1週間が過ぎた16日、日経平均株価は反発し心理的節目とされる1万8000円が目前となった。為替は1ドル=109円台と約5カ月半ぶりの水準まで下落。企業業績に追い風となるはずだが、自動車を中心とした輸出株では「不透明な円安」を警戒する動きが強まっている。
 4000億円の恩恵――。米大統領選のサプライズはトランプ次期大統領の誕生だけではなかった。大幅な円高に振れるとの市場の思惑が外れ、1週間で5円近い円安が進んだからだ。同水準が続けば、2017年3月期下期には主力25社の営業利益は約4000億円押し上げられる。中でもトヨタ自動車など自動車7社はこのうち8割を占め、円安の恩恵が大きい。
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 輸出株投資の定石は「円安=即買い」。しかし今、自動車株の値動きは重い。16日こそ上昇したものの大統領選前の8日比ではスズキが6%安、三菱自動車が2%安、日産自動車が0・5%安だ。日経平均(4%高)はもちろん、トランプ氏に米キャタピラーとの比較で名指しされ、米事業の先行き懸念が出たコマツ(12%高)と比べても真逆の動きだ。
 「円安でも当面、自動車株は買わないよ」 。ある国内運用会社の担当者はこう話す。代わりに割安で業績好調な電機株へ資金を移し始めたという。今のドル高は「トランプ氏の経済政策のいい部分だけが評価された仮の姿」というのが理由だ。
 円売りを加速しているのは減税やインフラ投資などへの期待による米長期金利の上昇だ。ただ勝利後に保護主義的な政策に関する過激発言がなりをひそめるなどトランプ氏の「本音」は見えない。「足元の円安は具体的な政策が示される来年1月まででは」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成氏)との意見も目立つ。
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 為替動向が不透明とはいえ、足元の資金は世界的に景気敏感株やバリュー株に向かう。本来、消費に直結する自動車株はもっと上昇してもいいはずだが、そうなっていない。円安メリットの持続性に加え、市場は「3つの憂鬱」の影響を評価しあぐねているためだ。
 1つは「メキシコからの輸入について高い関税を課す」との公約だ。日産自やマツダなどが該当し、実現すればエンジン部品を手掛けるTPRなど部材各社にも影響が及ぶ。次に新興国での通貨安や経済減速の懸念。実際、インドで高シェアのスズキや東南アジアで強い三菱自の下 げの大きさが目立つ。最後に米国第一主義だ。かつての貿易摩擦ほどではないものの、バイアメリカン的なムードを警戒する声もある。
 だが、主力輸出株が軒並み売られているわけではない。合理化や他国での販売増などで吸収できる総合力を備えるとみられているトヨタ自動車やホンダは堅調だ。電機でも数年前から事業構造の改革を進めるソニーの稼ぐ力が評価されている。
 「トランプ相場」の熱狂に埋もれがちだが、水面下では競争力を評価する業績相場にじわり移り始めている。(田中博人)