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儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

全面高に残る違和感――構造不況銘柄にも買いの手

 日経平均株価が900円超下落した「トランプ・ショック」から3営業日目。市場は1421円(9%高)を取り戻し順調な回復を見せる。米長期金利上昇を起点とする円安という追い風があるにしても、唐突な全面高にはやや疑問もある。代表例がトランプ次期米大統領の掲げる保護貿易主義という荒波の中での海運株の上昇だ。さらに世界を見渡せば新興国からのマネー流出の兆しも見える。
 この日、日本郵船は7%高、商船三井は5%高で終えた。米大統領選前の8日との比較でも郵船は7%、商船三井は9%上げた。
 海運大手はアジアと米国を結ぶコンテナ船や自動車運搬船が大きな収益源。環太平洋経済連携協定(TPP)などに否定的なトランプ氏の施策は国際貿易を縮小させる懸念が大きい。にもかかわらず、株式市場は円安や資源関連の荷動き回復という材料のみをはやして買い進む。
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 大統領選後は海運以外の「構造不況銘柄」にまで幅広く買いの手が及んだ。例えば鉄鋼。原料炭の価格急騰と鋼材市況低迷の板挟みに苦しみ、神戸製鋼の2017年3月期の連結経常利益は前期比65%減る見通し。それでも株価は14日、約2カ月ぶりの高値( 株式併合考慮後)を付けた。
 一方、トヨタ自動車の動きは鈍く、大統領選後の上昇率は日経平均を下回る。過去の円安局面とは異なる動きで「値動きの軽さや割安さに目を付けた値幅取り狙いが目立つ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)証左だ。
 この日発表された7~9月期の国内総生産(GDP)も追い風だったが、内訳では輸出主体の外需の伸びが大きく内需の寄与はわずか。輸出頼みは相変わらずで、米国の保護主義は日本経済の土台を揺さぶる。14日の決算会見で横浜ゴムの小松滋夫取締役は「国境をまたいだ取引がやりにくくなる」と危機感を表した。
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 トランプ熱に沸くのは日米欧など先進国だけだ。「国境に壁をつくる」「35%の輸入関税を課す」――。目の敵にされたメキシコでは、通貨ペソが1割超下落し、株と債券も下落。ブラジルもトリプル安だ。
 アジアへも波及している。インドネシアやマレーシアでは株安と通貨安が同時進行。フィリピンの株価指数は8カ月ぶり安値を付けた。「アジアの一部地域では資本流出が起きかねない」(三井住友アセットマネジメントの市川雅浩氏)
 足元の世界的な株や通貨 、債券の大変動は短期筋が主導したが、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から離れた値動きはいずれ修正される。「トランプ相場」の賞味期限見極めが近づく。(湯浅兼輔)