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トランプ相場の傷痕―急落・急騰、両局面で損失

 11日の東京株式市場で日経平均株価は続伸したが、上げ幅はわずか30円。前日に米ダウ工業株30種平均が最高値を更新した勢いが海を渡ってくることはなかった。日本株の上値が突如として重くなったのは、米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏の政策に対する警戒感だけが理由ではなさそう。トランプ相場が東京市場に残した傷の影響も無視できない。
 「9日の下げはともかく、翌日にたった1日でこんなに急反発するとは思わなかった」。30年来、証券会社で先物・オプションのディーラーとして活躍した経験を持つ投資家の中川祐治氏は肩を落とす。
 9日は日経平均が一時1000円以上下落。「クリントン氏が順当に勝ち、波乱はない」との前提で売り建てていた日経平均オプションの1万6000円のプット(売る権利)を慌てて買い戻し、損切りした。
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 「トランプ氏勝利なら株価は大幅下落する」との事前予想は多かったので、ここまではまだ序の口。中川氏は損切りと同時に1万7000円のコール(買う権利)を売った。11月物の特別清算指数(SQ)算出日は11日。「わずか2日間で1万7000円まで戻すことはない」との 読みだったが、蓋を開ければ日経平均は急反発。傷口はかえって広がってしまった。
 オプション取引は、相場が予想と逆に動いた場合の損失が大きくなりがち。9日に1万7000円のコールを10枚売った投資家は、9日には13万円の利益を得たが、その後の2日間で583万円の損失を出した計算になる。
 海外のヘッジファンドも、同じような仕組みで損失が続出したようだ。9日と10日の日経平均オプションの総売買高は35万7000枚と、前月の同時期の約3倍に膨らんだ。投資家の慌てぶりと、傷の深さを物語る。
 百戦錬磨の投資家が「往復ビンタ」を食らったのはなぜなのか。
 一つは円安だ。事前予想では、トランプ氏が当選すれば円高が進むとみられていた。だが、財政悪化懸念から米長期金利が急上昇。内外金利差の拡大でドル高・円安となり、日本株の急反発につながった。
 「市場心理の転換」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)も想定を超えていた。トランプ氏と距離を置いていた内外の政治家や企業経営者らは、当選が決まると手のひらを返したようにトランプ支持に転向。相場は一転して歓迎ムードに包まれ た。
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 米大統領選前の8日に比べると、11日の日経平均はほぼ同水準。だが、急落だけでなく急騰でも痛手を被った投資家は、往復で2000円分のダメージを受けている。これが大統領選後の最初の取引日から「トランプ・ラリー」に沸き、急落を経験しなかった米国株式市場との大きな違いだ。
 トランプ相場直前の日経平均は、7月から続いた1万6000円台での膠着相場から上放れる兆候を見せていた。投資家の傷が癒えるには時間がかかりそう。東京市場がトランプ前の景色を取り戻すのも簡単ではないかもしれない。(藤原隆人)