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反騰相場、にじむ不安――「トランプリスク」円高再燃も

 大幅に反発した株式相場の水面下で、「トランプリスク」への警戒感がくすぶり続けている。米株高やドル高・円安の進行を受け、10日の日経平均株価は1092円高と大幅上昇を演じた。だが、個別銘柄の値動きに目をこらすと円高再燃などの懸念を払拭しきれない投資家心理が見えてくる。
 「大統領選の結果だけでなく、相場の方向感にも予想を裏切られた」。米ヘッジファンドの日本株運用担当者は嘆く。日経平均は前日の下げ(919円安)をあっさり取り戻し、大統領選前である8日終値を1%上回った。市場関係者が「今年最大のリスク」と位置づけてきたトランプショックをわずか1日ではね返す強い動きだ。
 とはいえ、個別銘柄の動きを子細に検証するとまた違った風景が浮かび上がる。円安が大きく進んだにもかかわらず、輸出関連の主役である自動車株の戻りが意外なほど鈍いのだ。
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 大統領選前の8日と比べると日産自動車が5%安、富士重工業は3%安となり、トヨタ自動車も小幅ながらマイナス圏にとどまった。底流にはドナルド・トランプ氏の政策が中長期的にはドル安・円高を招きかねないとの懸念がある。
 足元でドル高・円 安が進んだのは、トランプ氏が主張するインフラ投資の拡大で財政負担が強まるとして米長期金利が上昇、日米金利差が拡大したからだ。背景には財政悪化懸念があるだけに、いずれはインフレ・通貨安に転じるリスクがある。関税引き上げや移民制限といった政策も輸入物価や労働コストを押し上げ、インフレと通貨安の要因となりかねない。
 「米連邦準備理事会(FRB)のイエレン氏はクビ」とトランプ氏がかねて発言しているのも気がかりだ。利上げを探っているイエレン氏が更迭されると、「ドル安・円高が一気に加速するかもしれない」とも市場ではささやかれている。
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 「『トランプノミクス』は(円安をテコに株式相場を上昇させた)アベノミクスに似ている」(米コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツの野本大輔氏)との声もある。過去の発言をみると国内産業の保護を念頭に他国の通貨安を批判しており、ドル安志向が鮮明だ。
 反グローバリズム的な政策への不安も根強い。日産自やトヨタは、トランプ氏が「国境に壁をつくる」と発言しているメキシコに工場があるのも株価の重荷になっている。「環太平洋経済連携協定(TPP)は ゴミ箱へ」とも訴えているからか、グローバルなヒトやモノの動きに業績が連動しやすい海運や空運の値動きもさえなかった。日本郵船は8日比で3%安、ANAホールディングスも小幅安にとどまった。
 「トランプ氏勝利」に予想外のリスクオン的な動きで応えた世界の金融市場。だが、「まだ具体的な政策内容は確認できていない」(ソシエテジェネラル証券のフランク・ベンジムラ氏)ことを忘れてはいけない。トランプリスクの実態を市場が織り込むのはこれからだ。(野村優子)