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新大統領を待つ潮流――米長期金利2%が分水嶺

 8日の株式相場は小動きにとどまった。米大統領選の結果と、今後のマネーの流れを見極めたいと売買が手控えられた。大きなイベントを通過すると投資家が動き出し、市場のトレンドは転換しやすい。低金利やデフレ圧力が支配していた市場の潮流が、本格的に変わる可能性も指摘されている。
 「やはり、安定株のピークは終わったということでしょう」(大手証券トレーダー)。8日は円安や原油高を追い風に輸出株や資源関連株が買われる一方、医薬や鉄道といった値動きの安定した株が売られ、相場全体の重荷となった。
 7月から米独など先進国の長期金利が上昇に転じるとともに安定株は失速が目立ってきた。ひとまず調整は終えたのか。市場参加者は米金利の先行きをどう見るかで分かれる。大和証券の鈴木政博氏は、「米長期金利が2%を超えたら、安定株の下落が加速しかねない」と指摘する。
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 米国の安定株の上場投資信託(ETF)では、米10年債利回りが節目の2%を下回ると資金流入が増えてきた。過去にはキプロスの財政不安や欧州中央銀行(ECB)の量的緩和導入、日銀のマイナス金利導入がきっかけとなった。
 債券での運用 難に陥った大規模なマネーがETFに流入したためで、逆に、米10年債利回りが2%を超えると債券に戻りかねない。すでに1・8%台まで上昇しており、米景気や物価が強含むと、一気に分水嶺を越える可能性がある。
 米国ではインフレへの転換を意識する動きも活発だ。物価が上昇すると元本が増える物価連動国債が人気化し、米運用会社ブラックロックのETFでは純資産の伸びが今年5割と、2009年以来の大きさだ。
 日欧の金融政策の限界論や米利上げ観測、商品価格の反転、米賃金の上昇加速――。安定株や米物価連動国債を巡るマネーの流れを変える要因には事欠かない。この流れをより強くしそうなのが政治の変化だ。
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 「財政刺激策への転換は富の不平等の是正圧力を反映している」。米バンクオブアメリカ・メリルリンチのマイケル・ハートネット氏は、国内総生産(GDP)比で過去最低水準にある米国の公共投資が増えそうな傾向を重く見る。財政拡大はクリントン、トランプの両候補に共通する数少ない政策。どちらが勝っても金融資産より、公共投資の対象となるインフラや資材となる商品、不動産など実物資産が優位とみる。
 日 本株でもインフラや資源関連が買われやすくなりそうだが、相場全体の上昇は望みにくい。米国債利回りが上昇(価格は下落)すれば、「国債よりはまだ割安」として許容されてきた株価の割高さが調整する可能性もある。
 日本株は出遅れていたため、米国株に比べ相対的には優位とされる。それでも米国を起点にした潮流の変化に投資家は身構えている。「株価が上昇しても、早々に利益確定して年を越したいのが投資家の本音」(BNPパリバ証券の岡沢恭弥氏)。米金利は2%に届くかどうか。新大統領が決まった後の大きなテーマになる。(松崎雄典)