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儲ける&儲かる!株式投資

厳選推奨銘柄を大公開。CFP(R)が株の買い方を解説。毎日訪問で初心者が株取引のプロに。

「宴の後」身構える市場―巨大投資家の投げ売り警戒

 株式市場が「トランプリスク」の高まりに本気で身構え始めた。4日の日経平均株価は大幅続落し、オプション市場では売る権利(プット)が大商いだった。警戒すべきなのは、相場の変動率(ボラティリティー)が急激に高まる恐れがあることだろう。波乱のない宴(うたげ)のようなこれまでのジリ高相場を一気に暗転させる引き金を引きかねないからだ。
 「市場はトランプ氏の勝利を織り込み始めましたね。米大統領選に向け自分のポジション(持ち高)のリスクを埋めようと必死ですよ」。4日取引時間中、ある大手証券で日本株の自己売買部門を統括するトレーダーは、騒々しいトレーディングフロアの真ん中で声を張り上げた。
 大口のポジションを抱える海外投資家や証券会社がトランプリスクをヘッジ(回避)するために使うのは先物・オプション市場だ。4日はJPモルガン証券がTOPIX先物を大きく売り越した。大手の海外投資家から日本株の下落リスクをヘッジする売り注文が出たとみられている。
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 日経平均オプション市場では、相場下落への保険をかけようとプットがにぎわった。プットの総売買高は2営業日連続で10万枚を超えた。 「差し迫ったトランプリスクに備える動き」(外資系証券)という。
 リスク回避のプット買いが主導し、オプション価格から逆算した日経平均の予想変動率(日経平均ボラティリティー・インデックス=VI)も上昇。4日終値は7月29日以来の水準となる25・54を付けた。
 昨年8月の中国の人民元切り下げや今年1~2月の世界同時株安、そして今年6月下旬の英国の欧州連合(EU)離脱決定時には、日経平均VIは一時、40を超えた。実際に米大統領選でトランプ氏が勝利すれば、同じ状況が繰り返されないとも限らない。
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 「米大統領選を機に世界株のボラティリティーが急上昇した場合、最も警戒すべきなのはリスクパリティの売りだ」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真氏は警鐘を鳴らす。
 リスクパリティとは、米欧年金マネーをはじめ海外投資家の間で広く採用される最先端の運用リスク管理手法だ。株や債券など複数資産の保有リスク量をそろえるために、各市場のボラティリティーの動きに合わせて各資産の組み入れ比率を機動的に変更する。
 総額は世界で50兆円以上あるとされ、相場への影響力は大きい。昨年8 月や1~2月の世界株安局面では、リスクパリティ戦略を採用する巨大投資家の投げ売りが株価下落を増幅させる最大の「犯人」だったというのが定説になっている。
 重要なのは、世界的な先進国株のボラティリティー低下によって、リスクパリティ戦略が春先以降、株式の組み入れ比率を一貫して高めてきたことだ。三菱モルガンの試算では、人民元ショック直前とほぼ同じ水準に達してきたという。
 長く続いた膠着相場の先には、往々にして大きな波乱が訪れる。米大統領選が再び巨大投資家の投げ売りのスイッチを押しかねないことを、今の市場は敏感にかぎ取っている。(証券部次長 川崎健)