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「先回り投資家」の憂鬱――為替と株価の乖離に弱み

 2日の株式市場では、米大統領選を巡る懸念の再燃で相場のもろさが露呈した。これまでは、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れ倍増が相場を支え、円高が進んでも日経平均株価は底堅く推移。銘柄選別を得意とする「アクティブファンド」の一部も、決算シーズン前に先回りで買いに動いていた。だがこの日、為替と株価の乖離(かいり)が改めて意識された。果敢にリスクを取った運用者の胸の内は――。
 「内需の安定成長銘柄を増やすことにした」。仏系運用会社コムジェストで日本株ファンドを運用するリチャード・ケイ氏はこう明かす。世界景気に左右される外需関連株の組み入れ増を模索したが、ここ1~2週間の企業決算を見ていったん保留。日本M&Aセンターなど好業績銘柄の買い増しを検討するという。
 市場は機械や電子部品など外需関連の業績に物足りなさを感じている。為替想定変更による下方修正は織り込み済み。その先の業績回復ストーリーに期待したが「ファナック経営陣は中国需要の先行きに慎重だった」(コムジェストのケイ氏)といった声が漏れる。
 業績底入れ確認で割安な外需株主導の日本株上昇――。決算発表が中盤に入り、楽観シ ナリオがしぼみ始めた。市場の事前の「期待」が大きかったことを暗示するのが、円相場と日経平均の乖離だ。7月末以降、強い連動性がいったん途切れ、円高のわりに株価は高い位置を保つ。
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 日銀のETF買いやヘッジファンドの先物買いだけではない。「今回は決算前に先回り買いに動く長期投資家が意外に多かった」と大和証券グローバル・エクイティ・トレーディング部の池端幸雄氏は証言する。米景気の堅調さを確認する指標が続き、12月の米利上げが市場の共通認識になった。日米金利差拡大↓円安方向の安心感から、外需銘柄には買いが入っていた。
 ただ株価上昇を見て「少し行き過ぎ」(JPモルガン証券の阪上亮太氏)と心配する声があったことも確か。一部投資家はなぜ、決算発表の確認前にリスクをとって動いたのか。ある外資系運用会社幹部は打ち明ける。「『日銀買い』に勝つため、変化の目をいち早く見つけようと躍起だ」
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 アクティブ投信の存在意義は市場平均に勝つこと。だが運用成績を見ると苦悩が分かる。日銀がETF購入の増額を決めた7月の金融政策決定会合前日を起点に基準価格の騰落率を見ると、東証株価 指数(TOPIX)を下回る投信が目立つ。日銀がETFで市場を丸ごと買うため、投信が保有しにくい業績低迷銘柄や流動性が低い小型株ほど上がりやすくなるためだ。
 2日の日経平均終値は300円超下げたが、ドル円チャートとの乖離は依然大きい。今の円高水準が続けば1万5000円台まで調整する可能性すら読み取れる。米大統領選を無事に通過しても、12月には米利上げ判断などが控える。日銀の買い支えがあるとはいえ「ひずみ」が残る限りショックには弱く、上値は重そうだ。先回り投資家の悩みは深い。(宮本岳則)