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ETFを使いこなす(5)海外資産にも投資―米市場に銘柄集中、為替リスク注意、分配金は二重課税(達人が伝授)終

 東京証券取引所に上場する上場投資信託(ETF)の数は200銘柄を超え、数の上では充実してきたと言えるでしょう。その半面、日経平均株価に連動するETFがミニを含め8銘柄上場するなど、重複する銘柄が多く、ETFだけで国際分散投資をするのは難しいようです。
 例えば欧州の株価指数に連動するETFをみてみましょう。2015年3月にスイスのUBSグループが欧州株式に連動するETFを7本上場させました。英国株に連動する銘柄はありますが、ドイツ株(DAX指数)に連動する銘柄は上場していません。売買高が少なく、流動性に難がある銘柄も散見されます。そこで分散効果を狙う投資家らは、米国や香港などの株式市場に上場する海外ETFに注目しているのです。
特定口座の利用可
 特定口座に海外ETFを入れることができるように証券会社が対応したことも追い風になりました。法律上はできたのですが、その対応は証券会社任せだったのです。まず主要なネット証券が対応しました。SBI証券、マネックス証券、楽天証券の3社は、少額投資非課税制度(NISA)口座で海外ETFを購入する際の買い付け手数料を無料にし、購入しやす くなりました。
 国内で購入できる海外ETFの数は300を超え、東証に上場するETFの銘柄数を上回っています。投資対象資産も株式から、商品のほかテーマ性の高いものなど、国内ETFにはないものも上場していて国内ETFのデメリットを補えます。投資の仕方は国内ETFと同じですが、売買手数料に、円を外貨に替えたり外貨を円に戻したりする際の為替手数料がかかります。
 ばかになりませんから頻繁に売買する場合は、売却代金を円に戻さず外貨MMFや外貨預かり金においておき、再度投資する際にはその外貨で決済すれば為替手数料を抑えられます。円決済ができる証券会社もあります。
 そして投資の際の為替リスクにも留意しなければなりません。国際分散投資という観点でいえば、保有資産の通貨を分散させ、円、米ドル、ユーロなどさまざまな通貨で資産を保有することになります。
 先に述べた欧州株のETFあるいは投資信託に投資する場合、通常は円とユーロが関係します。米国市場に上場するETFだった場合はどうなるでしょうか。欧州株に連動する海外ETFで人気の高い「バンガート・FTSE・ヨーロッパETF」に投資する際は円 を米ドルに替えて売買することになります。
 このETFの損益を考える場合、欧州株の価格変動と為替の動向を考えねばなりません。為替は円とユーロではなく、円と米ドル、米ドルとユーロの動きという2つの組み合わせを考える必要があります。ざっと簡略化していえば、欧州株は上昇、為替も円安・ユーロ高となったとしても、円が対米ドルに対して円高になってしまえば、株価の上昇と円安・ユーロ高の為替差益を、円高・米ドル安が相殺してしまうのです。
 この三角関係がプラスに働くこともありますから、デメリットばかりではありません。ただ、国際分散投資を目指して海外ETFを中心にポートフォリオを組んだのに、結果的に通貨が集中していた、などということもあり得るのです。海外ETFの取り扱いはそのほとんどが米国市場銘柄です。結果として、米ドルに資産が集中してしまいがちです。
損益通算の対象に
 最後にETFにかかる税金をみておきましょう。課税方式は国内・海外ETFともに上場株式と同じで、売却益、分配金ともに申告分離課税扱いです。税率は復興特別所得税を含んで一律20.315%。上場株式等と損益通算できます。
  ただし、分配金に関しては二重課税されてしまいます。米国籍のETFの場合、分配金を1000円とするとまず米国で10%が源泉徴収されて900円となり、その900円に対して20.315%の税金が課せられ手取り額は718円になってしまいます。確定申告をすれば外国税額控除の適用を受けられ国内の所得税から一部を取り戻せます。NISA口座で投資すると、国内の課税はありませんが外国税額控除は適用されません。出口まで想定し、ETFの投資メリットを十分享受できるようにしましょう。(この項おわり)
深野康彦(ふかの・やすひこ)氏 ファイナンシャルリサーチ代表。1962年埼玉県生まれ。クレジット会社勤務を経て89年に独立系FP会社に入社。96年独立。新聞・雑誌への寄稿やテレビ・ラジオへの出演を通じ、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説く。近著は「ジュニアNISA入門」(ダイヤモンド社)。