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覆りつつある悲観論―業績・景気に改善サイン

 日本株の重荷だった世界景気の悲観論が後退してきた。日米欧の製造業の景況感はそろって改善し、英国の2016年7~9月期の経済成長率は市場予想を上回った。景気拡大を見越して米欧では長期金利が上昇しており、日本の金融株や輸出関連株の追い風になっている。4~9月期決算も思いのほか底堅い内容が目立つ。金融政策ばかりに目が行きがちだったが、業績や景気が先導する相場に切り替わっていけるか。
 28日の株式市場では保険株や銀行株に買いが向かった。第一生命ホールディングス株は一時5%高、三菱UFJフィナンシャル・グループ株も2%高となった。米欧の長期金利上昇を受け、利ざや拡大の期待が広がった。日米の金利差拡大から1ドル=105円台まで円安に戻し、自動車株なども軒並み上昇した。
 米欧の金利上昇には世界景気が回復に向かうとの見方が背景にある。製造業の景況感をみるとそれは鮮明だ。英調査会社IHSマークイットがまとめた10月のユーロ圏の製造業景況感指数(PMI)は50を超え、2年半ぶりの高水準だった。50超なら「景況改善」のサインとなる。
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 マークイットのPMIは中国では政府発表 のPMIに並んで市場の注目を集める指標だ。日米欧では中国ほどメジャーな指標ではないが、国際比較がしやすいなどで注視する投資家もいる。10月の製造業PMIは米国が15年10月以来、日本が16年1月以来の高い水準だった。
 円高で苦戦した日本企業の業績は最悪期を脱した可能性がある。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「循環的な製造業の業績持ち直しの兆候が見られる」と指摘する。海外では設備投資需要が回復している。安川電機は制御装置やロボットの販売が中国や欧米で増え、16年4~9月期決算は市場予想を上回った。17年3月期予想の利益を上方修正した日本電産も、物流向け搬送装置などが伸びる。
 野村証券が主要企業を対象に、27日までに発表された4~9月期の経常利益を調べたところ、会社予想を5%超上回った企業数は全体の5割弱を占めた。円高でも「コスト削減などをテコに企業は業績を伸ばす努力を続けている」(野村証券の松浦寿雄チーフストラテジスト)。
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 国内の個人消費はまだ厳しい。だが、見方を変えれば明るい兆しもある。見たり聞いたりする体験を楽しむ「コト消費」の 盛り上がりだ。
 「君の名は。」が代表するように今年は映画のヒット作が相次いでいる。興行収入が50億円を超える作品は8本、100億円超は2本にのぼる。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストによると、2000年以降の景気拡大局面では50億円超の映画は7本以上、100億円超は2本以上あったという。今年はこの基準を満たす。
 今年の日本株は日銀や米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に振り回された感が強い。企業業績や景気などファンダメンタルズ(基礎的条件)に基づく相場に順調に移行できれば、強含みの相場は長続きするかもしれない。(湯浅兼輔)