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需給相場に潜むリスク―あなどれない政府放出株

 24日の日経平均株価は3日連続で1万7000円台を保った。堅調さの要因は株式需給。海外勢の売りを国内勢が吸収する構図がはっきりしてきた。ただ、かく乱要因は政府保有株の放出だ。25日上場の九州旅客鉄道JR九州)が、需給相場の試金石になる。
 「市場に出回る)浮動株が減り、需給は相当締まってきた」。BNPパリバ証券の岡沢恭弥氏は直近の相場をこう分析する。需給の担い手は言わずもがな、日銀の上場投資信託ETF)買い入れと企業の自社株買いだ。日銀は年6兆円のペースでETFを購入。企業の自社株買いは1~9月、過去最高の4兆3500億円に達した。
 だが、違う見方もある。T&Dアセットマネジメントの神谷尚志氏によると、今年6月までの1年間で株式の需給動向新株発行、売り出しを含む)は数兆円規模の供給超だった。伏兵は昨年11月上場の日本郵政グループだ。「日本株の需給は政府保有株の売り出しが意外な影響を与えている」神谷氏)
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 JR九州はどうか。 市場から吸収するのは4160億円と、郵政グループの3割程度にとどまり影響は限定的との見方もある。豪華寝台列車「ななつ星in九州」など個人にもなじみ深い事業が多く、不動産など非鉄道事業が売上高の過半を占めるのも特徴だ。「売り出し価格は割安感がある」外資系運用会社)
 それでも需給面からJR九州に焦点を当てると懸念は残る。NTTや日本たばこ産業JT)など、これまでも政府保有株の売り出し4000億円以上)は相場の重荷になってきた。売り出し時に株を取得した個人は早々に売却する傾向が強いからだ。ただでさえ個人は相場の上昇局面で利益確定売りを出す傾向が強い。6カ月間の平均売越額は1兆円規模で、政府系企業の上場・売り出し後に限ると売越額は2割膨らむ。
 新規株式公開IPO)情報サイトを運営する西和仁さん仮名)は、JR九州も同じ傾向をたどるとみている。サイトの閲覧者が関連リンクの証券会社に新規口座を開く動きは、郵政グループが上場した当時に比べ3分の1程度とい う。
 新規の投資マネーが少ないところに売り注文が出れば、JR九州の株価どころか日本株全般が冷や水を浴びかねない。既にJR東日本などにはJR九州の取得に向けた換金売りが続いている。限られたマネーを分け合う構図が見える。
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 政府は東日本大震災の復興財源を捻出するため、日本郵政株の追加売り出しや東京地下鉄株の売却を視野に入れる。総額は数兆円規模。成田国際空港も上場を経営方針に掲げている。政府放出株の売りを吸収するには、企業の自社株買いを増やすのが有効だろう。
 「まだまだ日本企業は資金をため込んでいる」。フィデリティ・インターナショナルのドミニク・ロッシ氏はこう話す。自社株買いが増えたとはいえ、過去5年間で日本企業の発行済み株数はまだ横ばい。同じ期間で5%減った米企業とは対照的だ。「米国では数十年後には株がなくなってしまう勢いだ」。ロッシ氏の苦笑は、需給相場の危うさを突いている。菊地毅)