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確信持てぬ新興国景気――化学株高、実需より供給要因

 20日の日経平均株価は約半年ぶりの高値を付けたにもかかわらず、市場参加者の高揚感は乏しい。持ち直しつつある新興国景気も日本企業の業績を持続的に押し上げる力強さはない。悪くはないが、先行きに確信が持てない。そんな相場を象徴しているのが化学株だ。
 「一部の外国人投資家の買いでするすると上がったが、国内勢の戻り待ちの売りが少なかっただけ。閑散相場の地合いは変わっていない」。東証1部の売買代金が久しぶりに2兆円台に乗せた20日、大手証券のトレーダーは淡々と語った。
 旭化成、日産化学工業、日立化成――。この日、目立ったのが化学株の上昇だ。各社ともそろって年初来高値を更新した。
 三菱ガス化学もその一つ。朝方に高値を付け、7月11日の安値からは5割高となった。中国の石炭生産の規制強化を受けてアジアのメタノール市況が上向き、業績の改善が期待されている。
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 三井化学も人気化している。シンガポールにある英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルのエチレン設備で不具合が相次ぎ、アジアのエチレン市況が好転。やはり業績の上振れ期待が強い。
 これらの化学メーカーに共通するのは、供給面の 要因から汎用化学品の需給が締まり、結果的に追い風を受けている点だ。
 確かにアジアを中心に、新興国景気に対する市場参加者の心理は上向いている。投資家心理を指数化する独調査会社センティクスによると、日本を除くアジアの指数は10月に19・7と1月マイナス7・6)から急ピッチで改善している。資源価格の底入れを背景に、中南米の指数もマイナス幅を縮めている。
 もっとも、新興国の景気回復の持続力には疑問も残る。「昨年までのように景気が崩れる懸念はなくなったが、力強さは感じられない」ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄氏)。世界景気をけん引するまでには至らないとの声が多い。
 では、アジアの市況主導で堅調に推移してきた化学株の先行きはどうか。
 2017年以降は米国でシェールガス由来の安い化学製品の生産が本格化する。中東や中国でも割安なエタンガスや石炭を使った製品の生産増が見込まれ、需給が大きく緩む懸念もある。「市況に左右される汎用品に依存した収益拡大は長続きしない」国内証券)
 本来なら日本勢の 得意とする高機能品の出荷増で収益を伸ばしたいところだが、そうはなっていない。
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 すでにデンカが電子材料などの出荷数量の伸び悩みで17年3月期の業績見通しを下方修正した。「東レの炭素繊維なども販売数量減が懸念される」三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)
 幅広い用途に使われる化学製品だが、実需はまだそれほど伸びていないのだ。好転した市場心理に比べて、新興国の景気の足腰は強くないことを裏打ちする。
 米国が利上げを急げば新興国から再び資金が流出する懸念もある。久々にリスクオンムードとなった日本株市場だが、化学株を見る限り依然としてもろさをはらんでいる。平沢光彰)