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副業新時代、私も「二刀流」、多様な経験、企業にもプラス、ヤフーは数百人、申請不要のサイボウズ。

社員に副業を認める企業が広がっている。IT情報技術)化の進展で新たな働き方も次々生まれてきている。
ネット系企業を中心にじわり増え始めている、「もう一つの顔」を持つ社員らの実情を探った。
 9月下旬。加藤勝信働き方改革担当相が、JR大阪駅前にあるロート製薬4527)のオフィスを視察した。お目当ては同社が4月から始めた副業を積極的に容認する制度。電機や建設、商社といった大手企業からも問い合わせが相次いでいるという。ロート製薬は「これほどの反響は予想していなかった」人事総務部の山本明子グループリーダー)と驚く。
 終身雇用が盤石でなくなり、多様な働き方に対する関心が高まるなか、副業に注目が集まっている。政府が9月に立ち上げた「働き方改革実現会議」は、副業や兼業を含む柔軟な働き方について検討を始めた。人材サービスのエン・ジャパン4849)が派遣サイトの利用者を対象に2008年から実施している調査で、副業したことがある人は15年に57%と過去最高を記録した。
 もっとも総 労働時間の把握や情報漏洩などへの懸念から、正社員に副業を容認している大手企業はこれまで限られていた。就業規則で全面禁止していなくても、「推奨はしていない」タイヤ大手)という企業は少なくない。
 ではなぜロート製薬は副業容認に転じたのか。きっかけは人事制度改革を議論するプロジェクトチームからの提案だった。チームの若手8人が社内で広くヒアリングしたところ、「二刀流で成長したい」という声が多く寄せられたという。その提案に共鳴したのが創業家出身の山田邦雄会長兼最高経営責任者CEO)だ。
 11年の東日本大震災で会社を挙げた支援に取り組むなか、他の仕事を持ちながらNPOを率いる地元の人々らのリーダーシップが山田会長の心に強く残った。会社の枠にとらわれない多様な経験を認めることが、組織の力も高めると判断した。
 副業制度に応募できるのは入社3年目以上の正社員で、就業時間外や休日のみ副業が可能だ。地ビールを製造・販売する会社を興したり、薬剤師の資格を生かして休日に調剤薬局で働いたりする社員が登場。副業を始めた約60人の社員からは「ロー ト製薬という看板を背負わずに闘うことで刺激を受けている」といった声が上がっている。
 実は副業の容認はインターネット系の企業で先行してきた。ヤフー4689)には数百人規模で副業をしている社員がいる。その1人が入社3年目で大手広告代理店向けの営業を担当する堀口英剛さん25)だ。
 堀口さんは大学生のころから米アップルの「iPhone」などデジタルガジェット気の利いた小物)に関するブログを運営している。「会社員としての仕事は社会勉強。将来はブロガーとして独立したい」。こう言い切る堀口さんにとって、副業の容認は就職先を選ぶうえで必須条件だった。月によってはヤフーの給料の1.5倍をブログの広告収入などで稼ぐという。
 ネット検索で上位に表示されるようにする技術やソーシャル・ネットワーキング・サービスSNS)を使った宣伝など、ブログ運営で培った知見はネット広告の営業というヤフーでの仕事にも生かされる。「取引先との会話も弾みやすい」堀口さん)。
 1 2年から副業を「原則許可」に変更したのはソフトウエア開発のサイボウズ4776)だ。条件を満たせば申請も不要なため、人事部も全てを把握しているわけではないが、国内400人のうち約20人が副業をしているとみられる。
 その筆頭が13年に日本マイクロソフトから転職した中村龍太さん52)だ。サイボウズから提示された年収はマイクロソフト時代の半分。それでも転職に踏み切ったのは、青野慶久社長から「うちには副業という選択肢がある」と誘われたからだ。今はサイボウズをはじめ、4社に所属して4枚の名刺を使い分ける。
 サイボウズで働くのは火曜日から金曜日まで。ノーリツ鋼機7744)の農業子会社から、栄養価の高いニンジンの最適な収穫時期を全国の契約農家が情報共有するソフトを受注するなどの実績を上げた。月曜日は別のソフト開発会社に出勤する。
 週末はノーリツ鋼機の子会社の契約農家に変身。自らニンジンを栽培し、農業関係者らの視察を受け入れる。さらに最近、キャンプ用品大手のスノーピーク7816) の研修事業子会社に執行役員として加わった。サイボウズの社内研修ノウハウを使って事業開発するのが仕事だが、出勤はほとんどせずネット上のやりとりで済ませる。
 「自分は働き方の実証実験をしている」と中村さん。一つの会社や仕事に縛られる働き方は、産業革命以後の工場労働をベースに世界に広がったとされる。だが今やIT情報技術)の発展で働き方は大きく変貌した。複数の名刺を持つことが当たり前の時代はすぐそこに迫っているのかもしれない。