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ETFを使いこなす(3)レバレッジ型の独壇場―目立つ粗製乱造、短期マネーが流入し中長期投資定着せず

 日銀は2%の物価上昇を達成するために、テーマ別の上場投資信託ETF)導入も促してきました。
 例えば2015年12月、ETFについて当時の年間3兆円の買い入れに加え、新たに3000億円の枠を設け「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFを買い入れると明言しました。
 働き方改革や生産性向上といったアベノミクスを後方支援するようなETFです。こうした商品はなかったので当初はJPX日経400に連動するETFが買い入れ対象でした。施策の趣旨に合うETFは16年5~6月に6本ほど上場されました。
日銀以外、誰が買う?
 そのなかで最も純資産総額が大きい9月末時点)「DIAMETFJPX/S&P設備・人材投資指数」を見てみましょう。組み入れ上位銘柄はトヨタ自動車、日本電信電話NTT)、日本たばこ産業JT)などです。日経平均株価など代表的な指数の組み入れ銘柄と重なり、インデックスファンドなどを持っていると投資先が重複してしまいます。
 そのため 売買高は低調です。売買はほぼ毎日成立しているものの、6銘柄も上場しているために売買高は最低投資単元の1単元程度しか成立していない銘柄すらある状態です。
 貯蓄から投資への掛け声の下、ETF市場を活性化するために銘柄数を増やすことは大切です。でも日銀の政策で鳴り物入りで上場されたけれど、正直、「日銀以外、一体だれが買うの?」と、首をかしげたくなるETFが粗製乱造されている負の面が否めません。これが個人投資家にETFが一気に広がらない要因なのかもしれません。
 低コストで中長期投資を促し、個人の資金を投資市場へ流入させるツールとしてのETFを考えたときに、本当に適しているかと考えてしまうのが、レバレッジ型ETFの拡充です。現在は、短期投資家が殺到してしまっています。
 「NEXTFUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」は、今やこの1銘柄だけで、全ETF市場の売買代金の6割近くを占める巨人です。個別株式を含めた売買代金ランキングでも、常に上位に登場します。実際、株式市場に与える影響が大きすぎると一時期、新規設定を見合わせていました。
 同ETFは指数の変動率が 、日経平均株価の前日比の変動率の2倍になるように計算された日経平均レバレッジ・インデックスに連動することを目指しています。前日と比較して日経平均株価が2%上昇すれば、同ETFは4%の上昇、反対に2%下落すれば、同ETFは4%の下落になるというわけです。
価格変動大きく
 つまりETFの価格変動が大きく、収益を得やすく、短期売買の投資家の資金が流入しました。実際には2倍の信用取引と同じですが、現物取引で売買している限りは予測に反して日経平均株価が大幅に下落しても株式の信用取引のような追い証が発生しません。
 もし信用取引でこのETFを買えば、レバレッジ効果は、2倍から6.6倍信用取引は証拠金の約3.3倍まで取引可能)に拡大します。資金効率がより高くなるのです。
 結果論ですが、昨年までのアベノミクスラリーでは、一時的に含み損を抱えてもすぐに日経平均株価は回復し、損失をほとんど被らずに済みました。でもレバレッジ型のETFは中長期投資には向きません。たとえば、日経平均株価が5日間で3%上昇したとき、レバレッジ型は6%の上昇でしょうか。表のように乱高下 しながらの3%高だったら同ETFは約5.5%の上昇に留まります。指数は一定期間の上昇率ですが、レバレッジ型ETFは日々の変動率の2倍の値動きになるので投資期間が長くなるほど乖離かいり)が大きくなるのです。
 短期投資家が市場に流動性を供給する側面はありますが、ETF市場で低コストに着目した中長期投資を根づかせられない原因を作っているように見受けられます。
深野康彦ふかの・やすひこ)氏 ファイナンシャルリサーチ代表。1962年埼玉県生まれ。クレジット会社勤務を経て89年に独立系FP会社に入社。96年独立。新聞・雑誌への寄稿やテレビ・ラジオへの出演を通じ、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説く。近著は「ジュニアNISA入門」ダイヤモンド社)。