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トヨタを買えない理由―円高修正も、世界変調を懸念

 14日の日経平均株価は小幅ながら3日ぶりに反発した。とはいえ、上昇が目立ったのは業績のV字回復に期待がかかるファーストリテイリングなど一部の銘柄だけで、他の主力株はさえない展開だった。方向感の定まらない投資家心理を象徴したのがトヨタ自動車株だ。
 「日銀が存在感を増す今の日本株市場では個別の材料が出ても手がけにくい。トヨタなどが一例だろう」。ヘッジファンドのエピック・パートナーズ・インベストメンツの武英松氏はこう解説する。
 トヨタは12日、スズキとの提携検討開始を発表した。だが、翌日以降の株価は1%未満の小幅な上昇にとどまる。業界が沸き立つニュースでも株式市場は悲しいほど反応薄だ。
 足元では円高是正が進み、1ドル=104円前後で推移する。市場関係者が注目するトヨタの想定レート2017年3月期通期で102円)より円安だ。輸出で稼ぐ自動車メーカーにとって居心地の良い環境に戻りつつある。
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 それでも株価がさえないのはなぜか。
 くすぶるのは主戦場である米国市場の減速懸念だ。9月の米新車販売は年率換算で約1780万台と増加傾向にあ る。ただ背景には販売奨励金の積み増しや、信用力の低いサブプライム層向けローンの増加もあり、楽観はできない。
 ニューヨーク連邦準備銀行によると、サブプライム層への自動車ローンは16年第2四半期で300億ドル超と、リーマン・ショック前の水準まで増えている。米JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者CEO)が「自動車ローン残高)は少し拡大しすぎている」と発言したのは6月初旬だ。新車販売がかさ上げした水準なら、長くは保てない。
 米市場の変調は全ての自動車メーカーにとって逆風となる。断トツの収益力を誇るトヨタに対しても「今好んで買う投資家はいない」外資系証券)との声がもっぱらだ。
 予想PER株価収益率)はトヨタが12倍台の一方、ライバルの欧米勢は5~6倍台にとどまる。指標面でトヨタを割高とみる投資家は少なくない。
 変調リスクは米国だけでない。中国では足元の販売こそ好調だが、減税措置の年内終了を見越した駆け込み需要の効果も大きい。
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 ト ヨタがトップシェアを握るタイでは市場低迷が長引くところに、プミポン国王死去の知らせが舞い込んだ。大規模リコール問題にトヨタが揺れていた10年には豊田章一郎名誉会長がプミポン国王を表敬訪問。「私とタイ国民がトヨタ車を疑うことはない」と語りかけられた逸話もあるほど、双方の結びつきは強い。
 トヨタの金城湯池である米国やタイ、成長を目指す中国市場がそろって減速すれば、「トヨタなどの)輸出株は円安が進んでも単純に買う流れにはならない」マーサー・インベストメント・ソリューションズの大塚文彦社長)。トヨタの直面する市場の変調懸念は多くの企業が共有する。今後本格化する16年4~9月期決算発表は収益環境の転機を探る場になりそうだ。浜岳彦)