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帰らざる長期投資家―短期売買の裏に成長への懐疑

 13日の株式市場は日経平均株価が朝方こそ上げて始まったが、中国貿易収支の弱い内容が伝わると、下落に転じ続落して終わった。買い材料に乏しいなか、市場では個別に材料が出た銘柄などを売買する短期投資家の姿ばかりが目立つ。腰の据わった長期投資家を再び呼び込もうと関係者も模索するが、脱・短期志向の道はなお険しそうだ。
 「新規マネーはごくわずか。短期筋から利益確定の売りがポツポツ出ている」。大手証券のベテラン株式トレーダーは表情を曇らせる。13日は原油高などを背景に持ち直しつつあった資源関連株に利益確定売りが出て、コマツやJXホールディングスがそれぞれ1%安となった。
 日経平均が1万7000円を回復しても、1日しか値を保てないほど上値が重い相場で、目立つのは短期売買だ。背景には円安による株高を演出したアベノミクスに陰りが見えるなか、中長期投資の外国人マネーが逃げてしまったことがある。
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 東京証券取引所の投資主体別売買動向によれば、アベノミクス下で2015年夏に20兆円に達した外国人の累計買越額はすでに4割近くを失った。「何をいつまでにやるという成長戦略の工程表がな い」フィデリティ・インターナショナルのドミニク・ロッシ氏)ことが失望を誘い、個人と並ぶ売り越し主体となっている。
 アベノミクスへの期待が大きく後退する一方、短期ではなく、中長期投資家の裾野を広げようとする動きも出ている。一例が経済産業省が今夏に立ち上げた「持続的成長に向けた長期投資ESG・無形資産投資)研究会」。ESGは環境E)、社会S)、企業統治G)の頭文字をつなげたもので、同研究会はこの非財務情報で企業を分析し、優れた企業を見つける評価軸づくりに挑む。
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 同研究会をまとめる座長は一橋大学大学院の伊藤邦雄特任教授。企業に欧米並みの8%超の自己資本利益率ROE)を求めた「伊藤リポート」の生みの親である。伊藤氏は「外国人だけでなく、日本の機関投資家のなかに長期投資の視点が少なすぎる」と言い切る。
 ESGを重視する企業は市場から高い評価を受けているとの試算もある。ニッセイアセットマネジメントの井口譲二 氏が国内の500社の企業をESGの観点から格付けして3グループに分けたところ、格付けの最も高い企業群と低い企業群はPBR株価純資産倍率)に2・5倍超の差が付くことが分かった。今後、ESGが長期投資家をひき付ける端緒になる可能性はある。
 ただ、短期投資家がいなくなれば、長期投資家が戻ってくるというのは幻想にすぎない。先週までスペインなど欧州の投資家を訪問していたアバディーン投信投資顧問の窪田慶太氏は「日銀批判ばかりだった」と明かす。日銀は上場投資信託ETF)を通じて日本株を下支えしているが、成長期待に欠ける企業まで一律に買われてしまうのは市場原理に反する。長期投資家が求めているのは「官製相場」ではなく、成長期待を持てる国や企業だ。関口慶太)