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ETFを使いこなす(2)分配金に着目―TOPIX連動でも14年で10倍に増、給与減少をカバー

 上場投資信託(ETF)を上手に売買して利益を得ようと思うなら、マーケットにべったり張り付いてタイミングを狙わなくてはなりません。でも働く人には無理な話ですし、円高・株安トレンドの傾向が続く現状では、足元の株式相場はもっとも売却益を狙いにくい局面といえそうです。そこで分配金に注目し、インカムゲインを得ながら、気長に売却益を狙う中長期の投資スタンスをとってみてはいかがでしょうか。
 安倍晋三氏が2012年に首相就任して以降、3年連続で春闘でベースアップされました。大企業の2016年夏のボーナスも過去最高額と肩を並べる水準に回復し、勤労者の懐はかなり温かくなったようにみえます。でも実際に恩恵にあずかれたのは、主に大企業の従業員の人たちです。
 国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」によれば、マクロ数字全体の給与額はむしろ減少の流れといえます。図1のように、民間企業の平均給与額でみると09年まではほぼ減少続きで、増加額は6年間で14万円、増加率はたった3.4%です。00年と比べると41万円も減少し、減少率は8.8%にも及ぶのです。
株主還元を重視
 しかし個々の企業にお いては前期(16年3月期)決算で過去最高益を更新した企業は上場企業だけでもかなりの数に上ります。過去最高益とまでいかなくても、00年以降、10年以上も利益が減り続けている企業はまれなはずです。所得税や法人税の税収は増えているのですから、全企業が利益を1割近く減らしていることはないでしょう。言い換えれば、勤労者の給与が1割弱も減らされる道理はないのです。
 近年、多額の内部留保を企業がため込んでいると報道されていますが、一方では株主への利益還元も積極的に行われるようになりました。配当金に関しては、00年代前半に商法が改正されてからは、剰余金(内部留保)を取り崩してまで配当金を払うことができます。つまり配当金に着目した投資スタイルは理にかなっているのです。
 高配当株を苦労して厳選しなくても中長期の投資スタンスであれば、TOPIX(東証株価指数)連動のETFで十分、その恩恵にあずかれるのです。
 図2はTOPIX連動のETFの純資産額が多い上位3銘柄の100口あたりの分配金の平均額の推移です。「ダイワ上場投信―トピックス」「TOPIX連動型上場投資信託」は01年7月の上場、「上 場インデックスファンドTOPIX」は02年1月の上場ですが、同年の7月の決算期から分配金を支払い始めています。02年の分配金平均額は259.33円であるのに対し、16年は2632円と約10倍にも増えています。その間、分配金は大幅に減少した年もありましたが、おおむね右肩上がりの増加トレンドが継続しています。
 上場インデックスファンドTOPIXが上場した月の末日、1月31日の終値の3ETFの平均値は969.66円でした。この平均値で仮に100口購入するとその投資額は9万6966円。その間15年間で受け取った分配金総額は2万4749円、16年9月30日の終値の平均値は1356円。仮にその価格で売却すれば、売却益は3万8634円、分配金は2万4749円ですから、総利益は6万3383円になります。
 投資金額に対する収益率は約65.3%、分配金だけでも約25.5%あるのです。売買手数料や税金を加味していないため、実際の収益率はもっと低くなりますが、収益率は分配金だけでも給与の減少率を上回ったと推測されるのです。
スタイル多様に
 TOPIX連動のETFでもかなりの収益率ですから「 上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100)」や「NEXTFUNDS日本株高配当70連動型上場投信」「iシェアーズMSCIジャパン高配当利回りETF」のような高配当指数に連動する銘柄なら、より高い収益を期待できるかもしれません。
 また「上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ」なら、先の高配当指数連動のETFよりリスクを抑えた投資ができるでしょう。多様なETFの上場が増え、さまざまなスタイルで投資ができるようになっているのです。
深野康彦(ふかの・やすひこ)氏 ファイナンシャルリサーチ代表。1962年埼玉県生まれ。クレジット会社勤務を経て89年に独立系FP会社に入社。96年独立。新聞・雑誌への寄稿やテレビ・ラジオへの出演を通じ、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説く。近著は「ジュニアNISA入門」(ダイヤモンド社)。