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鉄鋼株、貿易摩擦が重荷―化学・ガラスなど広がりも

 日本株は戻り歩調にある。6日の日経平均株価は一進一退ながら4日続伸した。円高一服で輸出株が買われたが、一抹の不安が残るのは鉄鋼株だ。実は株価の重荷になっているのが欧米やアジアで頻発する貿易摩擦だとの指摘がある。世界的に広がる保護主義は自由なモノの動きを阻害しかねない。化学や紙、ガラスなどの素材株に影響が広がる可能性もある。
 この日の日経平均は企業の輸出採算改善への期待から一時、前日比152円高まで上昇した。節目の1万7000円には届かなかったが、みずほ証券の倉持靖彦ストラテジストは「景気敏感株は機関投資家の持ち高も大きくなく資金流入はしばらく続く」と見る。
 新日鉄住金も一時、前日比2%高まで上昇した。ただ期間を広げると株価はさえない。最近は資源価格の持ち直しなどで上昇したが、昨年末比では12%安い。JFEホールディングスも20%安い水準だ。
 世界の鉄鋼株の値動きは異なる。インドのタタ製鉄は約50%上昇、米国のUSスチールは2・2倍と明暗がはっきりと分かれた。
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 「大量の安値輸出が世界の鉄鋼市場へ深刻な打撃を与えている」。9月下旬、中国を訪問した日中 経済協会の宗岡正二会長新日鉄住金会長)は中国要人に憂慮の意を伝えた。中国で過剰生産されて使われなかった鋼材は世界を漂う。2015年は日本の年間の粗鋼生産量に匹敵する1億トン強が海外市場に流れた。
 16年に入りインド、米国は安い中国鋼材から自国産業を守るため反ダンピング課税を決定した。タタ製鉄とUSスチールの株には価格上昇による収益改善を期待した買いが入った。
 野村証券の松本裕司アナリストは「日本の鉄鋼会社は輸出比率が3~5割と高く保護貿易は嫌な流れだ。中長期で収益に影響する」と指摘する。今年の鉄鋼分野の反ダンピング課税、相殺関税の調査開始件数はすでに27件と例年に比べてハイペースだ。JFEスチールの柿木厚司社長は「反ダンピング措置で自国産業を守ろうとする国が増えてくる」と身構える。
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 「中国の過剰生産問題は鉄鋼だけの問題ではない」と日本総合研究所調査部の三浦有史氏は警告する。今後、中国の過剰生産能力が解消されずに貿易摩擦が起こりうる産業として「化学、石油精製、板ガラス、紙、造船などが挙げられる」という。すでに合成繊維などで反ダン ピング措置の動きが始まっている。ある化学大手は「国と一体になって対抗措置を検討している」と打ち明ける。
 鉄鋼連盟は経済団体や政府と協調して中国に鉄鋼過剰生産の解消を働きかけている。新日鉄住金やJFE、神戸製鋼所は東南アジアや米国で現地企業と組んで製鋼工程に投資したり、保護貿易の網にかからない高付加価値製品の比率引き上げなど対策を急ぐ。
 しかし、問題解決は一朝一夕にはいかない。これから政治の季節を迎える欧米では保護主義の一段の高まりが懸念される。貿易摩擦がさらに強くなれば日本経済への影響は甚大だろう。鉄鋼産業が保護主義とどう対峙していくかは、株式市場の大きな関心事になるはずだ。岡田達也)