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成長投資、買えぬ市場―設備の陳腐化、早まり警戒

 前日に大幅反発したかと思えば、9月30日の日経平均株価は前日の上げ幅を帳消しにする大幅反落となった。海外発の材料に振り回される展開が続く中で、頼みの綱は企業の成長戦略といいたいところだが、残念ながらそうでもないようだ。この日に投資家心理を象徴するかのような値動きを見せたのはシャープ株だった。
 「いまさら遅い」。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は手厳しい。シャープは前引け後に600億円近くを投じ、有機ELパネルの試作ラインを作ると発表した。同社にとって久々に前向きな話なはずだが、後場に入ってもシャープ株への積極的な買いはみられなかった。株価は結局、前日比変わらずの135円で引けた。
 秋野氏は一般論として、「競争力があるのか分からない分野に投資されても困る。それなら配当などで株主に還元してくれた方がいい」と言い切る。企業の積極投資を必ずしも前向きに評価できない投資家は多い。設備投資に見合った売り上げを企業が思うように稼げなくなっている構造変化が背景にありそうだ。
 この日、株価が下がったTDK3%安)や村田製作所 2%安)も同じことがいえる。米アップル関連とされる35銘柄について「設備などの固定資産でどれだけ効率的に売り上げを稼いだか」を示す固定資産回転率をみると、16年4~6月期は約1・9回と1~3月期に比べ急低下した。スマートフォンスマホ)の成長鈍化で設備規模に見合った収益を上げにくくなっているのだ。
 アップルに詳しい早稲田大学の長内厚教授も「近い将来、電子部品などはこれまでの投資や設備が重荷になる可能性がある」と話す。スマホ向けは技術革新が早く、設備の陳腐化が早まっている。脱スマホとして電子部品各社は自動車向けにも力を入れるが、品質と価格にうるさいのは完成車メーカーとて同様だ。完成車メーカーを納得させるだけの品質を担保する設備投資をしても、採算と両立するのは簡単ではない。

 一方、資産リストラへの株式市場の反応は総じてポジティブだ。例えば、負の遺産だったマレーシアの多結晶シリコン会社売却を28日に発表したトクヤマ。翌29日の株価は2割上昇し、30日も1カ月ぶりの高値圏を維持した。30日にはセブン&アイ・ホールデ ィングスが店舗などの減損処理による下方修正を発表した。週明けに同社株が上昇するようなら、こうした流れは本物かもしれない。
 しかし、である。レオス・キャピタルワークスの湯浅光裕取締役は「今こそ成長を見すえた銘柄を探すべきだ」と話す。同社は新規資金をハイテク銘柄などに振り向けているもよう。アセットマネジメントOneの鴨下健氏も「これまでは日米の金融政策に歩調を合わせざるを得なかったが、決算発表が始まる10月以降は戦略など企業の個別材料で株価に差が出やすい」と腕を鳴らす。
 リストラによる縮小均衡がもてはやされるような株式市場に未来はあるのか。投資家も企業も真価を試されている。浜岳彦)